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涼風
「涼風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
涼風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
条の橋の下へ参りまして、河原蓬《かわらよもぎ》の中に腰を下しながら、ここばかりは
涼風《すずかぜ》の通うのを幸と、水嵩《みかさ》の減った川に糸を下して、頻《しきり....
「或る女」より 著者:有島武郎
くし上がった。
その朝は暁から水がしたたりそうに空が晴れて、珍しくすがすがしい
涼風が木の間から来て窓の白いカーテンをそっとなでて通るさわやかな天気だったので、....
「地球を狙う者」より 著者:海野十三
地獄行の運命船にのりこんでいたのだとは、ずっと後になってやっと分ったことである。
涼風ふく甲板 「おお、君は加瀬谷教授の門下かね」 その翌朝のことであったが、涼....
「耽溺」より 著者:岩野泡鳴
田圃である。ずッと遠くまで並び立った稲の穂は、風に靡いてきらきら光っている。僕は
涼風のごとく軽くなり、月光のごとく形なく、里見亭の裏二階へ忍んで行きたかった。し....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
そっと環状を描いて走る省線電車は、窓という窓をすっかり開き時速五十キロメートルの
涼風を縦貫させた人工冷却で、乗客の居眠りを誘った。どの電車もどの電車も、前後不覚....
「地球要塞」より 著者:海野十三
椅子《とういす》を、崖《がけ》のうえにうつした。 海原《うなばら》を越えてくる
涼風《りょうふう》は、熱っぽい膚《はだ》のうえを吹いて、寒いほどであった。仰《あ....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
異変が、横合から流れこんで来た。それは有り得べからざる奇蹟の様に思われた。一陣の
涼風が、どこからともなくスーッと流れこんで来たのだった。 「……?」 八十助は....
「雷」より 著者:海野十三
黒い翼を拡げてしまって、誰が見ても相当物凄い夕立の景色になってきた。サッと一陣の
涼風が襟首のあたりを撫でてゆくかと思うと、ポツリポツリと大粒の雨が降って来た。 ....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
。賑いますのは花の時分、盛夏|三伏の頃、唯今はもう九月中旬、秋の初で、北国は早く
涼風が立ますから、これが逗留の客と云う程の者もなく、二階も下も伽藍堂、たまたまの....
「白光」より 著者:井上紅梅
遂に陳士成の名を見出すことが出来なかった。彼はただ試験場の壁の前に突立っていた。
涼風はそよそよと彼の白髪交りの短い髪の毛を吹き散らしたが、初冬の太陽はかえって暖....
「取舵」より 著者:泉鏡花
お蔭様で助かりまする。いや、これは気持の快い、とんと極楽でございます。」 渠は
涼風の来るごとに念仏して、心|窃かに学生の好意を謝したりき。 船室に在りて憂目....
「謡曲と画題」より 著者:上村松園
年一日のごとく同じ下手さをつづけている次第です。 謡曲をやっていますと身も心も
涼風に洗われたように清浄になってゆく自分を感じるのであります。 謡曲にもちゃん....
「西航日録」より 著者:井上円了
ンド洋の東端に出でて、アンダマン群島に沿ってベンガル湾に入る。その間、毎日快晴。
涼風船上を払い、暑気大いに減ずるを覚ゆ。ことに毎夕、明月中天に懸かり、四面雲影を....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
骨将蘇。 (呂宋第一の都会は、はなはだ熱く、骨も枯れ果てるかと思われた。日暮れて
涼風が起こり、六根(眼・耳・鼻・舌・身・意)はようやく生き返る思いがしたことだっ....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
舎無く、人語馬声無く、一刻一刻、人間界より遠ざかる。唯、蚊の襲来の多からざると、
涼風衣袂に満ちて、日中の炎塵を忘るるとは、最も快適の至りにして、殊に、ここ暫くの....