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「淀み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

淀みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:岡本かの子
消えた。 ともよは学校の遠足会で多摩川べりへ行ったことがあった。春さきの小川の淀みの淵を覗いていると、いくつも鮒が泳ぎ流れて来て、新茶のような青い水の中に尾鰭....
婦系図」より 著者:泉鏡花
友達と作文の相談をしていたの。」 優しくも教頭のために、腹案があったと見えて、淀みなく返事をしながら、何となく力なさそうに、靴を脱ぎかける処へ、玄関から次の茶....
春の潮」より 著者:伊藤左千夫
一夕の緩和を得た。嵐を免れて港に入りし船のごとく、激つ早瀬の水が、僅かなる岩間の淀みに、余裕を示すがごとく、二人はここに一夕の余裕を得た。 余裕をもって満たさ....
柿色の紙風船」より 著者:海野十三
その見馴れぬ紳士は、私の痔病について、いろいろと質問を発した。私はそれについて淀みなく返事をすることに勉めた。しかしあの病院のことだけは言わなかった。 紳士....
気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
の場で、この通りに倒れている屍体を発見し、直に報告の処置を執った旨を、詳細に且つ淀みなく述べ立てた。が、被害者に就いては、一向に見覚えがない旨を附加えた。すると....
宇宙尖兵」より 著者:海野十三
そのうちに、貴方の気が落付くように、誰かをそこへ迎えに行って貰います」 博士は淀みなく陳べたてた。 箱型自動車の中で、僕は自らスイッチをひねって、麻睡瓦斯を....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
ッと煙を吹いて、==山を川にしょう、山を川にしょう==と同音に唄い行く。行掛けて淀み、行途を望む。 鯉七 待て、見馴れぬものが、何やら田の畝を伝うて来る。 蟹五....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
遠く続いたのは、山中|道で、そこは雲の加減で、陽が薄赤く颯と射す。 色も空も一淀みする、この日溜りの三角畑の上ばかり、雲の瀬に紅の葉が柵むように、夥多しく赤蜻....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
「はあ――」 「ものの三間とは離れません。宮裏に、この地境らしい、水が窪み入った淀みに、朽ちた欄干ぐるみ、池の橋の一部が落込んで、流とすれすれに見えて、上へ落椿....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
「じゃあまるであかの他人なの?」 「なにそうでもないけれど。……」 少年は言淀みぬ。お貞は襟を掻合せ、浴衣の上前を引張りながら、 「それだから昨日も髪を結わ....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
の水に向うて立ちますと、人膚が背後から皮を透して透いて見えます位、急にも流れず、淀みもしませず、浪の立つ、瀬というものもござりませぬから、色も、蒼くも見えず、白....
多神教」より 著者:泉鏡花
いうが、毎夜、これへ参ったのか、これ、明に申せよ。どうじゃ。 お沢 はい、(言い淀み、言い淀み)今……夜……が、満……願……でございました。 神職 (御堂を敬う....
旅客機事件」より 著者:大庭武年
へ便所から綿井氏が出て来たので、私は操縦席へ帰ったのです」 ――三枝の答弁には淀みが無かった。然しその供述を立証する何等の証左も無い事は、如何とも出来なかった....
葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
三四人の跫音、声高にものを言い合いながら、早足で近いて、江崎の前へ来るとちょっと淀み、 「どうもお嬢さん難有うございました。」こういったのは豆腐屋の女房で、 「....
雪柳」より 著者:泉鏡花
明流先生の内弟子、けずり小僧が訪ねたのです。 それこそ、徳川の末の末の細流は、淀みつ、濁りつ、消えつつも、風説は二の橋あたりへまで伝わり流れて、土地のおでん屋....