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淋し
「淋し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
淋しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妙な話」より 著者:芥川竜之介
、あの界隈《かいわい》は場所がらだけに、昼でも滅多《めった》に人通りがない。その
淋しい路ばたに、風車売《かざぐるまう》りの荷が一台、忘れられたように置いてあった....
「運」より 著者:芥川竜之介
を留守居《るすい》に、慌《あわただ》しくどこかへ出て参りました。その後《あと》の
淋しさは、また一倍でございます。いくら利発者でも、こうなると、さすがに心細くなる....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
れた市街地のかすかな灯影《ほかげ》は、人気《ひとけ》のない所よりもかえって自然を
淋しく見せた。彼れはその灯《ひ》を見るともう一種のおびえを覚えた。人の気配《けは....
「星座」より 著者:有島武郎
清逸が十二分の自信をもって掴みうべき機会を……今までの無興味な学校の課業と、暗い
淋しい心の苦悶の中に、ただ一つ清浄無垢《せいじょうむく》な光を投げていた処女を根....
「碁石を呑んだ八っちゃん」より 著者:有島武郎
りかけた僕は幾度も眼をさました。八っちゃんがどんなになったかと思うと、僕は本当に
淋しく悲しかった。 時計が九つ打っても僕は寝られなかった。寝られないなあと思っ....
「親子」より 著者:有島武郎
を切らしたらしく、少しよろよろとなって歩いて行く父の後姿を見ると、彼はふっと深い
淋しさを覚えた。 父はいつまでも寝つかないらしかった。いつもならば頭を枕につけ....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
の意気の尊さはいうまでもない。然しその尊さの蔭には尊さそのものをも冰らせるような
淋しさが潜んでいる。 ただ私は私自身を私に恰好なように守って行きたい。それだけ....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
。二人は向いあって坐った。そして眼を見合わした。 曇った秋の午後のアプスは寒く
淋しく暗み亘っていた。ステインド・グラスから漏れる光線は、いくつかの細長い窓を暗....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
た。己れにゃ芝居ってやつが妙に打て無え。 気心でかヤコフ・イリイッチの声がふと
淋しくなったと思ったので、振向いて見ると彼は正面を向いて居た。波の反射が陽炎の様....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
をば上へ上へと登って行きました。見るとその辺は老木がぎっしり茂っている、ごくごく
淋しい深山で、そして不思議に山彦のよく響く処でございました。漸く山林地帯を出抜け....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
ってしまったのだ。私は突然自分の残生のほうを見ようとして振返ってみた。私は醜い、
淋しい老年と、間近に迫っている老衰とを見た。そして、すべてはそれで終りなのだ、そ....
「初雪」より 著者:秋田滋
女はたったひとりで留守番をしているのだが、良人のアンリイが家にいないことを、別に
淋しいとも思わなかった。と云って、彼女は良人を愛していなかったわけではない。充分....
「寡婦」より 著者:秋田滋
よく部屋の窓から、この感傷的な少年が、両手を腰のうしろに※して、首をうなだれて、
淋しそうな足どりで歩いている姿を見かけました。少年は時折り立ちどまって眼をあげる....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
二里余もつづく千代の松原の一部、ここには米一丸の墓があって、人魂が飛ぶと云われた
淋しいあたり、鉄道自殺と云えば地蔵松原を連想する程で、久作さんの『宙を飛ぶパラソ....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
に行くのを仕事にしておりました。 三人の百姓の生れた村というのは、それはそれは
淋しい小さな村で、秋になると、山が一面に紅葉になるので、城下の人たちが紅葉を見に....