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淋しい
「淋しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
淋しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妙な話」より 著者:芥川竜之介
、あの界隈《かいわい》は場所がらだけに、昼でも滅多《めった》に人通りがない。その
淋しい路ばたに、風車売《かざぐるまう》りの荷が一台、忘れられたように置いてあった....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
ていた。跡は小屋も畑も霜のために白茶けた鈍い狐色《きつねいろ》だった。仁右衛門の
淋しい小屋からはそれでもやがて白い炊煙がかすかに漏れはじめた。屋根からともなく囲....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
定を裏書きしてしまった。そして四つと三つと二つとになるお前たちを残して、十月末の
淋しい秋の日に、母上は入院せねばならぬ体となってしまった。
私は日中の仕事を終....
「星座」より 著者:有島武郎
清逸が十二分の自信をもって掴みうべき機会を……今までの無興味な学校の課業と、暗い
淋しい心の苦悶の中に、ただ一つ清浄無垢《せいじょうむく》な光を投げていた処女を根....
「親子」より 著者:有島武郎
えた。不思議な感激――それは血のつながりからのみ来ると思わしい熱い、しかし同時に
淋しい感激が彼の眼に涙をしぼり出そうとした。 厠に立った父の老いた後姿を見送り....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
属するものの中から何かを捨ててしまわねばならぬとなら、それは私には堪え得ぬまでに
淋しいことだ。よし私は矛盾の中に住み通そうとも、人生の味いの凡てを味い尽さなけれ....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
人は輝く喜びを忘れている。雲雀は歌うのに人は歌わない。木は跳るのに人は跳らない。
淋しい世の中だ」 また沈黙。 「沈黙は貧しさほどに美しく尊い。あなたの沈黙を私....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
から露店のイカサマ道具屋の罪の深いやり方のには、こういうのがある。これはちょっと
淋しい人通りのまばらな、深川の御船蔵前とか、浅草の本願寺の地内とかいう所へ、小さ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
をば上へ上へと登って行きました。見るとその辺は老木がぎっしり茂っている、ごくごく
淋しい深山で、そして不思議に山彦のよく響く処でございました。漸く山林地帯を出抜け....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
ってしまったのだ。私は突然自分の残生のほうを見ようとして振返ってみた。私は醜い、
淋しい老年と、間近に迫っている老衰とを見た。そして、すべてはそれで終りなのだ、そ....
「初雪」より 著者:秋田滋
女はたったひとりで留守番をしているのだが、良人のアンリイが家にいないことを、別に
淋しいとも思わなかった。と云って、彼女は良人を愛していなかったわけではない。充分....
「寡婦」より 著者:秋田滋
たのです」 彼女はそれから顔を胸のあたりまでうな垂れて、いつまでもいつまでも、
淋しい涕をながして泣いていた。 一同が部屋へ寝に引上げてしまうと、彼女の話でそ....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
までたってもあなたの画は売れそうもないことね。けれどもあなたは強がりなくせに変に
淋しい方ね。…… 戸部 畜生…… とも子 悪口になったら、許してちょうだい。で....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
二里余もつづく千代の松原の一部、ここには米一丸の墓があって、人魂が飛ぶと云われた
淋しいあたり、鉄道自殺と云えば地蔵松原を連想する程で、久作さんの『宙を飛ぶパラソ....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
に行くのを仕事にしておりました。 三人の百姓の生れた村というのは、それはそれは
淋しい小さな村で、秋になると、山が一面に紅葉になるので、城下の人たちが紅葉を見に....