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淡
「淡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
淡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
30
同じ劇場の裏の上部。火のともった窓には踊り子が一人現れ、冷
淡に目の下の往来を眺める。この姿は勿論《もちろん》逆光線のために顔などははっきり....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
の先どうするでしょう?」
重吉は一本の敷島《しきしま》に火をつけ、出来るだけ冷
淡に返事をした。
「さあ、どう云うことになるか。……」
彼の従弟は黙っていた。....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
眺《なが》めても、うそ寒い秋の気が動いていないところはない。
馬琴の眼は、この
淡彩の寒山拾得《かんざんじっとく》に落ちると、次第にやさしい潤いを帯びて輝き出し....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
ちごん》もこの客来《きゃくらい》を取次がないのも不審だった。しかしその男は私の冷
淡な言葉にもめげないで、もう一度額を畳につけると、相不変朗読《あいかわらずろうど....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
憎む余り、大怪我をさせたという事だろう。僕は小えんの身になって見れば、上品でも冷
淡な若槻よりも、下品でも猛烈な浪花節語りに、打ち込むのが自然だと考えるんだ。小え....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
ォルフのリイドにも、乃至《ないし》はヴェルアアランの都会の詩にも頗《すこぶ》る冷
淡に出来上っている。こう云う粟野さんに芸術のないのは犬に草のないのも同然であろう....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
、一揆《いっき》を起すような連中は、自滅する方が当然だと思っている。』と、至極冷
淡な返事をしますと、彼は不服そうに首を振って、『それは彼等の主張は間違っていたか....
「古千屋」より 著者:芥川竜之介
勢《おおさかぜい》の中でも名を知られた塙団右衛門直之《ばんだんえもんなおゆき》、
淡輪六郎兵衛重政《たんなわろくろうびょうえしげまさ》等はいずれもこの戦いのために....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
》はなるほど旭窓外史《きょくそうがいし》だった。自分は先生にこう云った。「旭窓は
淡窓《たんそう》の孫でしょう。
淡窓の子は何と云いましたかしら?」先生は即座に「夢....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
は、言わばエメラルドの色のように、あまりに軽く、余りに薄っぺらに光りすぎる。ただ
淡水と潮水《ちょうすい》とが交錯する平原の大河の水は、冷やかな青に、濁った黄の暖....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
つの快不快は全然|相容《あいい》れぬものではない。寧《むし》ろ鹹水《かんすい》と
淡水とのように、一つに融《と》け合《あ》っているものである。現に精神的教養を受け....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
いる、――その上に起した主峯の腹には、ゆうゆうとした秋の雲が、蛤粉《ごふん》の濃
淡を重ねています。山は高房山《こうぼうざん》の横点《おうてん》を重ねた、新雨《し....
「久保田万太郎氏」より 著者:芥川竜之介
も柔かなるが如し。のみならず作中の風景さえ、久保田君の筆に上るものは常に瀟洒たる
淡彩画なり。更に又久保田君の生活を見れば、――僕は久保田君の生活を知ること、最も....
「久米正雄氏の事」より 著者:芥川竜之介
起させる所もありますが、勿論全体としては別段似てもいません。 こう云う特質に冷
淡な人は、久米の作品を読んでも、一向面白くないでしょう。しかしこの特質は、決して....
「近藤浩一路氏」より 著者:芥川竜之介
えすれば、一頁の漫画が忽ちに、一幅の山水となるのは当然である。 近藤君の画は枯
淡ではない。南画じみた山水の中にも、何処か肉の臭いのする、しつこい所が潜んでいる....