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「淡い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

淡いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
水の三日」より 著者:芥川竜之介
時刻に窓を閉じた。僕たちの帰った時には、あたりがもう薄暗かった。二階の窓からは、淡い火影がさして、白楊《はくよう》の枝から枝にかけてあった洗たく物も、もうすっか....
或る女」より 著者:有島武郎
子と向かい合うと、久しくあわないでいた骨肉《こつにく》の人々の間にのみ感ぜられる淡い心置きを感じた。葉子は愛子にだけは倉地の事を少し具体的に知らしておくほうがい....
星座」より 著者:有島武郎
上の親しさで暮してきたこの男たちとも別れねばならぬ四辻に立つようになった……その淡い無常を感じて、机からぬっくと立ち上りながら西山は高笑いを収めた。そして大きな....
婦系図」より 著者:泉鏡花
は外――」 道子 二十九 夫の所好で白粉は濃いが、色は淡い。淡しとて、容色の劣る意味ではない。秋の花は春のと違って、艶を競い、美を誇る....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
るにつれて、単色に堅く凍りついていた雲が、蒸されるようにもやもやとくずれ出して、淡いながら暖かい色の晴れ雲に変わって行く。朝から風もなく晴れ渡った午後なぞに波打....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
ともで……お紫と云うがほんとうに紫……などというでしゅ、その娘が、その声で。……淡い膏も、白粉も、娘の匂いそのままで、膚ざわりのただ粗い、岩に脱いだ白足袋の裡に....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
拡ったように、比羅が一枚|貼ってあった。一樹が立留まって、繁った樫の陰に、表町の淡い燈にすかしながら、その「――干鯛かいらいし――……蛸とくあのくたら――」を言....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
寒げに脊筋の抜けるまで、嫋やかに、打悄れた、残んの嫁菜花の薄紫、浅葱のように目に淡い、藤色|縮緬の二枚着で、姿の寂しい、二十ばかりの若い芸者を流盻に掛けつつ、 ....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
、 「この一輪は蔭ながら、お手向けになったわね。」と、鼻紙へ密と置くと、冷い風に淡い紅……女心はかくやらむ。 窓の障子に薄日が映した。 「じゃ死のうという短刀....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
もすると、驚いて飛ぶ鳥の羽音が聞こえた。 一二軒、また二三軒。山吹、さつきが、淡い紅に、薄い黄に、その背戸、垣根に咲くのが、森の中の夜があけかかるように目に映....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
うど結び目の帯留の金具を射て、弾丸は外れたらしい。小指のさきほどの打身があった。淡いふすぼりが、媼の手が榊を清水にひたして冷すうちに、ブライツッケルの冷罨法にも....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
映ると、すぐ敷居際に――ここに今見ると同じ、支膝の七分身。紅、緋でない、水紅より淡い肉色の縮緬が、片端とけざまに弛んで胸へふっさりと巻いた、背負上の不思議な色気....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
どこにも平野らしい所はなく、見渡すかぎり山又山、高いのも低いのも、又色の濃いのも淡いのも、いろいろありますが、どれも皆樹木の茂った山ばかり、尖った岩山などはただ....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
ならぬものを蔽うた、藁も蓆も、早や路傍に露骨ながら、そこには菫の濃いのが咲いて、淡いのが草まじりに、はらはらと数に乱れる。 馬の沓形の畠やや中窪なのが一面、青....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
でも、鶯谷でも、特に観世音の御堂では、この妓と、花片が颯と微酔の頬に当るように、淡い薫さえして、近々と、膝を突合わせたような事がありましたから、色の刺激で、欄干....