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淡雪
「淡雪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
淡雪の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
》が吹流れて、町に陽炎《かげろう》の立つような日が、幾日《いくか》となく続いた。
淡雪が意《おも》いがけなく、また降って来たりしたが、春の日光に照されて、直にびし....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
ちゅうちょのあろうはずはない。間遠にちらりほらりと、いまだに降りつづけている
淡雪を浴びながら、庭先伝いに歩みよると、うち騒ぐ色も見せずに、烱々《けいけい》と....
「文鳥」より 著者:夏目漱石
そうな餌壺は釣鐘《つりがね》のように静かである。さすがに文鳥は軽いものだ。何だか
淡雪《あわゆき》の精《せい》のような気がした。 文鳥はつと嘴《くちばし》を餌壺....
「鰊漁場」より 著者:島木健作
にとってみるとしっとりとしたしめりを含んでい、掌の上ですぐにも溶けてしまうような
淡雪だった。そこにも春の近さが感じられた。――街道を行きかう馬橇引や、買物に出て....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
復た油臭い凍豆腐かと思うと、あの黄色いやつが壁に釣されたのを見てもウンザリする。
淡雪の後の道をびしょびしょ歩みながら、「草餅はいりませんか」と呼んで来る女の声を....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
しいような、おもしろいような気持ちになって、ほど近いわが家へと急いだのであった。
淡雪や通ひ路細き猫の恋(昭和五年三月、渋柿) * 桜の静かに散る....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
何尺も、何丈も、つもって溶けないような、しつこいのは嫌です、朝降って、昼は消える
淡雪《あわゆき》――降っているうちは綺麗で、積るということをしないうちに、いつ消....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
それと上になり下になって漂うていたもう一つの同形のものを取り上げて読むと、 「
淡雪信女亡霊供養」 と、同じ手筆で、同じ筆格に認《したた》められてある。 こ....
「道標」より 著者:豊島与志雄
を、二人はゆっくり歩いてゆきました。 焼け跡の耕作地をまだらまだらに被っている
淡雪を見ながら、木原は言いました。 「照子さん、あなたは本当に私を愛して下さいま....
「雪霊続記」より 著者:泉鏡花
杖の里に、もとの蔦屋(旅館)のお米さんを訪ねようという……見る見る積る雪の中に、
淡雪の消えるような、あだなのぞみがあったのです。でその望を煽るために、もう福井あ....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
くなった。 「鈴子ひとつ歌をつくって見せろ」 「紫にかそか匂いておもほゆる今朝の
淡雪消えまく惜しも」 「ふーむ。いい歌だ。このごろでのお前の秀作だ」仁田さんは紅....
「美音会」より 著者:佐藤垢石
、外見を防いでいる。見るから感じのおだやかなお婆さんである。三味線は清子である。
淡雪と枯野を楽に唄い退ける。非常な喝采だ。『これだから誰でも歌沢が好きになるのだ....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
水の上が薄らと、翳ろってきました。が、その瞬間に、私には今日まで二日間の疑問が、
淡雪のように消え去るのを覚えました。 なぜこの人たちには母親もなくて、そして明....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
はきにけり 為氏 まづ咲ける花とやいはんうちわたす遠かたの辺の春の
淡雪 為家 春くれば雪とも見えず大空の霞を分けて花ぞちりける 後....
「春の大方山」より 著者:木暮理太郎
沢の薙を埋めた雪の或部分が凍って、銀板の如くきらきらと輝く。裾の方には昨日降った
淡雪が、鹿子斑に樹木の間の茅戸を飾っていた。狩宿から五、六町離れて、少し北に寄っ....