淫ら[語句情報] »
淫ら
「淫ら〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
淫らの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「星座」より 著者:有島武郎
階子段を登って、油じみと焼けこげだらけな畳の上に坐らせられた。眼をそむけたいほど
淫らな感じのする女が現われて、べたべたと柿江の膝の上に乗りかからんばかりに横とん....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
ないという偏見だ。事情は個人的なものだった。 木崎にとっては、ダンスとはつねに
淫らなリズムに乗って動く夜のポーズであり、女の生理の醜さが社交のヴェールをかぶっ....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
昼食すら出すことはなかった。山谷は破戒僧面をして、ひとり身だった。ある日、豹一に
淫らな表情で、お君と安二郎のことに就て、きくにたえぬ話を言って聞かせた。 「如何....
「振動魔」より 著者:海野十三
ているのを知らないのねえ」 「ああ、僕は大莫迦者だった」 鳴咽する柿丘の声と、
淫らがましい愛撫の言葉をもって慰めはじめた雪子夫人の艶語とを其の儘、あとに残して....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
月形をしたルーベンス眉や、唇の両端が釣り上ったいわゆる覆舟口などと云うのは、元来
淫らな形とされている。けれども、妙にこの像面では鼻の円みと調和していて、それが、....
「天馬」より 著者:金史良
碗程もある盃一杯に肴までついて唯の五銭で飲めるのだった。彼はあの好きな明けすけの
淫らな冗談さえ一言も云う遑《いとま》もあらばこそ立て続けに何杯もひっかけた。外の....
「雨」より 著者:織田作之助
いた小さな絵だった。そして山谷は、お君と安二郎にその絵を結びつけ、口に泡をためて
淫らな話をした。いきなり、豹一はぎりぎり歯軋りし、その絵を破ってしまった。 「何....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
、醜い癩のようにひしゃげつぶれているのでした。その腕を広げて、あろうことか、私に
淫らしい挑みを見せてまいったのです。そして、その獣物のような狂乱が、とうとう私に....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
た。 「ですけど、あのテオバルトが、どうしてシュテッヘなものですか。貴方は、私を
淫らな不義者にして、いっそこんな恥辱をうけるのなら、私、この場で死んでしまいたい....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
あるんだけど……」 とお悦の唇が、いきなり濡れてきて、眼に肢体に、開けっ放しの
淫らがましいものが輝きはじめた。 「それは、ほかでもないんだが、もし、その早苗ち....
「オフェリヤ殺し」より 著者:小栗虫太郎
云って検事は、孔雀の顔を見上げ、瞼の縁に浮んでいる、奇麗な血管を眺め入った。この
淫らがましい獣のような娘を、少しでも見ていると、誰しも忌わしい誘惑を感じ、眩暈が....
「怪獣」より 著者:岡本綺堂
わたしも内心満足していたが、唯ひとつ私の眉をひそめさせたのは、ここの家の娘たちの
淫らな姿であった。 姉はお政といって二十二、妹はお時といって十九、容貌は可もな....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
る生き物を、どんな苛烈な言葉で形容したとて苛烈すぎはしない。彼女は「汚らわしく、
淫らがましき女にて、そのうえに申せば、矯風の道もなき、無恥厚顔の人にて候」 彼女....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
、それも紅が流れにじんでもうピラピラになっている。髭むじゃの男の顔も、そそけ髪の
淫らがましい女の顔も、むさくるしい二階の窓から好奇らしく私たちを眺めていた。それ....
「雨」より 著者:織田作之助
たが、眠れず、母親の体温を恋しがった。酔っぱらった二人の若い雇人は、声をひそめて
淫らな話をしていたが、時々高らかに笑いこけた。蒲団についたナフタリンの匂いが何か....