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「深手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

深手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
とする時、郡蔵は不意に兵太夫を斬り倒して、金箱をかかえて逃げてしまった。兵太夫は深手ながら息があったので、その始末を云い残して死にました。こうなると、山路郡蔵は....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
らだにぬくもりがござりましたゆえ、いっしょうけんめい介抱いたしましたなれど、あの深手でどうなりましょう、そのうちにも冷たくなってしまいましたゆえ、さっそくどなた....
真田幸村」より 著者:菊池寛
既に渡辺内蔵助|糺が水野|勝成と戦端を開いていた。 相当の力戦で、糺は既に身に深手を負っていた。幸村の軍|来ると分ると、糺は使を遣わして「只今の迫合に創を蒙り....
名人長二」より 著者:三遊亭円朝
殺したか」 と一生懸命に組付いて長二の鬢の毛を引掴みましたが、何を申すも急所の深手、諸行無常と告渡る浅草寺の鐘の音を冥府へ苞に敢なくも、其の儘息は絶えにけりと....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
松原というところで落馬して、その馬だけが走り去った。薩摩方の武士は落馬した異人の深手に苦しむのを見て、六人ほどでその異人の手を取り、畑中へ引き込んだという。傷つ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
、味方の死骸を改めさせ、その首を打ち落とし、思い思いのところに土深く納めさせた。深手に苦しむものは十人ばかりある。それも歩人に下知して戸板に載せ介抱を与えた。こ....
うつり香」より 著者:近松秋江
それでもやっぱり今柳沢に毒々しく侮辱された憤怒の怨恨が、嬲り殺しに斬り苛まされた深手の傷のようにむずむず五体を疼かした。 音羽の九丁目から山吹町の街路を歩いて....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
ざいます」 相「ヤレハヤ、それはなんたることか、併し疵は浅かろうか」 孝「いえ、深手でございます」 相「イヤハヤどうも、なぜ源次郎と声を掛けて突かないのだ、無闇....
敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
然うか、やい出ろ」 と髻を取ってずる/\と引出しますと、今こじられたのは急所の深手、 又「うーん」 と云うと田月堂の主人はべた/\と腰が抜けて奥へ逃げる事も....
赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
や、息の根止められましては、却って困難致しますゆえ‥…」 「左様であったの、では深手を、死なぬぐらいに付けると致そう」 それから私は彼の後に従いて、狭い険しい....
恨みの蠑螺」より 著者:岡本綺堂
郎兵衛は二カ所、お杉と義助は一ヵ所、いずれもその顔をさざえの殻に撃たれて、たとい深手でないにしても、流れる生血を鼻紙に染めることになったので、茶屋の女房は近所の....
南国太平記」より 著者:直木三十五
ている小太郎を、追って、山内は、歯噛みをしていた。浪人の二人まで即死して、四人が深手を負った。山内が、激昂しても、小太郎の腕を恐れ、金で雇われているだけの浪人は....
番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
に逃げた。権六の討死したのはこの時であった。権次は幸いに命を助かったが、左の足に深手を負ったのがもとで、とうとう跛足になってしまった。 両の翼と頼んだ奴が、一....
藤十郎の恋」より 著者:菊池寛
、幾度も力強く繰り返した。が、そう繰り返してみたものの、彼の心に出来た目に見えぬ深手は、折にふれ、時にふれ彼を苛まずにはいなかった。 お梶が、楽屋で縊れた事ま....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
声をふるわせて言った。 「もう息はござらぬか。」と、男はやはりしずかに言った。「深手のようには思うたが、ここまで担いで来る途中で息が絶えたと見えまする。」 「采....