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深秘
「深秘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
深秘の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「日本山岳景の特色」より 著者:小島烏水
来ない、随って欧洲アルプスなどで最も純粋の紫や、孔雀《くじゃく》の羽のような濃厚
深秘な妖色《ようしょく》を示すことのある、伊太利《イタリー》ドロマイト(白雲岩)....
「雪中富士登山記」より 著者:小島烏水
、叩けばカアンと音がしそうだ、空はもう純粋なるアルプス藍色となって、海水のように
深秘に静まり返っている、仰いだ眼を土に落すと、岩も雪も、この色に透徹して、夏には....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
に光った目は神のものに近い。高山の間に住む剛健な獣の野性と、翼を持つ鳥の自由と、
深秘を体得した神人の霊性とを兼ねそなえたようなのがその天狗だ。製作者はまたその面....
「白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
ように落ちて来る、峡間の水ほど力の強い、自由の手も少いであろう。そうして、未だ、
深秘の故郷にいるかのように、足踏して跳り狂っている。根曲り竹も、楊の根も、樅の肌....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
、また兀々とした石の筋骨が、投げ上げられて、空という空を突き抜いている、そうして
深秘な碧色の大空に、粗鉱を幅広に叩き出したような岩石の軌道が、まっしぐらに走って....
「不尽の高根」より 著者:小島烏水
にも見えないが、一千一百年以前からあったという古神社を継承した建築の、奥底に持つ
深秘の力は、いかにも富士の本宮として、人類が額ずくべき御堂を保ち得たことを喜ぶば....
「神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
と斎戒がなければならぬ。奥の大巌の中腹に、祠が立って、恭しく斎き祭った神像は、大
深秘で、軽々しく拝まれない――だから、参った処で、その効はあるまい……と行くのを....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
人が居る。 その実、山霊が奏でるので、次第々々に雲の底へ、高く消えて行く類の、
深秘な音楽ではあるまいか、と覚束なさに耳を澄ますと、確に、しかも、段々に峰から此....
「小坂部伝説」より 著者:岡本綺堂
いる。播磨名所巡覧図会には「正一位小刑部大明神は姫路城内の本丸に鎮座、祭神二座、
深秘の神とす。」とある。それらの考証は藤沢衛彦氏の日本伝説播磨の巻に詳しいから、....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
ないと拝まれない。が紅の霞はその時節にここを通る鰯売鯖売も誰知らないものはない。
深秘な山には、谷を隔てて、見えつつ近づくべからざる巨木名花があると聞く。……いず....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
。チリン、チリンと真綿に包まった、微妙な鈴のような音がしました。ああ、女神の簪の
深秘に響くというのは、これだと想って、私は全身、かッとほてりました。」 ここに....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
、浜の砂をざらざらとそのままだから、海の底のピラミッドを影で覗く鮮さがある。この
深秘らしい謎の魚を、事ともしない、魚屋は偉い。 「そら、持ってけ、持ってけ。賭博....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
さあ、逃げんか。広い世界へ出て行かぬか。
ここにノストラダムスが自筆で書いて、
深秘を伝えた本がある。
貴様の旅立つ案内には、これがあれば足りるではないか。
そ....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
じ御性質であったので、院と非常によく似通っておられる。有職について、院は『世俗浅
深秘抄』、順徳院は『禁秘抄』をつくられ、歌については院は『後鳥羽院御口伝』、順徳....
「旃陀羅考」より 著者:喜田貞吉
の子なりということは、実は近ごろになって始まったものではない。既に古く「大聖日蓮
深秘伝」というものがあって、父は房州小湊近郷の穢民で名は団五郎、母は同州小湊浦の....