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「深窓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

深窓の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
、退屈に倦《うん》じ果てた人々には、物好きな期待を与えた。ある時は葉子は慎み深い深窓《しんそう》の婦人らしく上品に、ある時は素養の深い若いディレッタントのように....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
川風にゆらめく陰で付き添いのお腰元が蒔絵硯《まきえすずり》を介添え申し上げると、深窓玉なす佳人がぽっとほおを染めながら、紅筆とって恋歌を書きしたためる。そのたん....
新生」より 著者:島崎藤村
掛けて行った。留学生は国の方で深くねんごろにした一人の若い婦人があったと言った。深窓に人となったようなその婦人は現に人の妻であるとも言った。私費で洋行を思立った....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
その女性も、声が心持ちふるえ、上気した頬はまた別種の美しさ。言葉にも物腰にも深窓育ちが窺われ、いまも躊躇ったような初心初心しい言いかたをする。まったくこんな....
婦系図」より 著者:泉鏡花
|遥かに、たまさか漏るる灯の影は、山路なる、孤家のそれと疑わるる。 名門の女子深窓に養われて、傍に夫無くしては、濫りに他と言葉さえ交えまじきが、今日朝からの心....
」より 著者:海野十三
十四五種は持っているべきを、たった一種しか持っていない。これは大いに不思議です。深窓に育った蠅だといってよろしい」 「深窓に育った蠅か? あッはッはッはッ」と捜....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
ギイとくぐりをあけて、しきりにためつすかしつ、差しのぞいていたが、菊路ほどの深窓珠をあざむく匂やかな風情が物を言わないという筈はない。にたりと笑って、忠義す....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
立寄りまして、慮外ながら伺いましたじゃ。 が、御存じない。いやこれは然もそう、深窓に姫御前とあろうお人の、他所の番地をずがずがお弁別のないはその筈よ。 硫黄....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
縹緻自慢の、それはそれは艶麗な美女も居ないのではないのでした。が、それ等は言わば深窓を飾る手活の花、命のお寛ぎになられた折の軽いお相手にはなり得ても、いざ生命懸....
文化祭」より 著者:坂口安吾
信二坊っちゃん、不自由はないはずだが、栄養充分の顔色でもない。やや、やせている。深窓に閉じこもっているせいか、なんとなく苦行僧のようなうッとうしいマナザシをして....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
った。 「女中というものは口サガないから、すでに御存知であろうが、かの母と娘なる深窓の二女が外出あそばすと、お帰りのミヤゲが多くてねえ。しかし、未亡人は、常にあ....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
のか、と思い当った。そこでこの話を克子にきかせた。 克子もむろん初耳であった。深窓の娘にそんな噂はとどかなかったし、兄の結婚についても、シノブを一目見て舌をま....
明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
で一ツ残さず食いあげてしまう。 青年男子とは云いながら、皮膚や骨柄の感じなどは深窓の佳人とでも云いたいような優形な彼らが、大江山の怪物のような食慾を発揮するか....
軽女」より 著者:上村松園
わたくしは親しみは持てないが、(京都二条寺町附近)の二文字屋次郎左衛門の娘として深窓にそだち、淑やかな立居の中に京娘のゆかしさを匂わせている、あのお軽には、わた....
呪われの家」より 著者:小酒井不木
しまったものと見えます。今から思えば私たちもいっそ死んで居た方がよかったのです。深窓に育った妹も遂に恐しい世間にほうり出されてしまいまして、私の家の言い伝えのと....