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深緑
「深緑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
深緑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「皮膚と心」より 著者:太宰治
まえ築地の小劇場で見た「どん底」という芝居の舞台面を、ふいと思い出しました。外は
深緑で、あんなに、まばゆいほど明るかったのに、ここは、どうしたのか、陽の光が在っ....
「女生徒」より 著者:太宰治
い手袋をして、大きな鍔《つば》の広い帽子には、美しい紫のすみれをつける。そうして
深緑のころにパリイのレストランに昼食をしに行く。もの憂《う》そうに軽く頬杖して、....
「季節の植物帳」より 著者:佐左木俊郎
○ 植物の生理的作用は、その形態と色とによって植物体の美を表現する。
深緑の葉、真紅《しんく》の花、さては薄紫の色に、或いは淡紅色に…… そして春の野....
「行人」より 著者:夏目漱石
念《たんねん》に往来を濡《ぬ》らしていた。塀の内には夏蜜柑《なつみかん》のような
深緑の葉が瓦《かわら》を隠すほど茂っていた。
院内では小使が丁字形《ていじけい....
「幻影の盾」より 著者:夏目漱石
ちょろと磯を洗う端だけが際限なく長い一条の白布と見える。丘には橄欖《かんらん》が
深緑りの葉を暖かき日に洗われて、その葉裏には百《もも》千鳥《ちどり》をかくす。庭....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
書《えはがき》が来た。これは彼の交友某画家からの年始状であるが、上部を赤、下部を
深緑《ふかみど》りで塗って、その真中に一の動物が蹲踞《うずくま》っているところを....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
ドレゴの前へ飛び出してきた女は、チョコレート色の長いオーバに大きなお尻を包み、
深緑のスカーフに血色のいい太い頸を巻いた丸々と肥えた年増のアイスランド女だった。....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
い窪みを発見した。そしてその窪みから一|呎程のところに、海の底が岩になっていて、
深緑色の海草、長海松の先端が三四本|縺れたようにちょろちょろと這い出ていた。 「....
「死者の書」より 著者:折口信夫
、旅笠を伏せたように見える遠い小山は、耳無の山であった。其右に高くつっ立っている
深緑は、畝傍山。更に遠く日を受けてきらつく水面は、埴安の池ではなかろうか。其東に....
「巴里のキャフェ」より 著者:岡本かの子
い鏡面は表のマロニエの影で埋まっている。白い花を載せた浅緑の葉や、赤い花を包んだ
深緑の葉の影がかたまり、盛り上り、重なり合った少しまばらなところに、女客のトオク....
「朱欒の花のさく頃」より 著者:杉田久女
の枝をかざして歌った万葉人と共になつかしいものの一つであった。今南国の小倉辺では
深緑の葉かげにまっ青な橙がかっちり実のり垂れ、街の人々はふぐが手に入る度びに、庭....
「初雪」より 著者:秋田滋
んと浴びて、うつらうつら眠っているように見えた。そして遥か彼方には、明るい家々が
深緑の山肌を、その頂から麓のあたりまで、はだれ雪のように、斑に点綴しているのが望....
「瀞」より 著者:佐藤垢石
ているではないか。 海雀の群れが、波間に隠見する。かもめが舞う。岬の突端を彩る
深緑の樹林は、山稜を伝って次第に高く行くにつれ、果ては黒く山の地肌を染めて、最後....
「平ヶ岳登攀記」より 著者:高頭仁兵衛
ぬから、岩壁を登ってその上流に下るとシラツキ沢が左から這入ている、只見川の本流は
深緑色をなして緩く流れているが、シラツキ沢は岩石が悉く真白になっていて、淡碧色の....
「動く絵と新しき夢幻」より 著者:小川未明
に進んでいると思う。 例えば海の水を描くとか、或は真夏の山を描くとか、又は森の
深緑に光線の直射しているところを描くとか、それ等は真実動いているように見える。け....