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深重
「深重〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
深重の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「外科室」より 著者:泉鏡花
。夫人は両手を肩に組みて身動きだもせず。 かかりしとき医学士は、誓うがごとく、
深重厳粛たる音調もて、 「夫人、責任を負って手術します」 ときに高峰の風采《ふ....
「語られざる哲学」より 著者:三木清
とを発見した。しかしながら罪を感ずる心はまたやがて神を求める心でなかろうか。罪悪
深重、煩悩|熾盛《しせい》の私たちがあればこそいよいよ仏の大悲大願のほども知られ....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
なたにさしあげます。これを見てはあなたの業の深いことを思ってください。そしてその
深重な罪の子をゆるしてくださる仏様を信じてください。そしてあなたの隣人をその心で....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
宗教の本質はその赦しにある。しかし善くなろうとする祈りがないならば、おのれの罪の
深重なることも、その赦されのありがたさもわかりはしないであろう。たとえば親鸞が人....
「電車の見えない電車通り」より 著者:宮本百合子
鑑み特に今回にかぎり右処分を取消すことも有之べく念のため申添候。 「何だか意味
深重な手紙だねえ」 弟がそう云っている。 「どういうのよ、これ。ね、お兄さん。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
して、一微塵ほどもわたしは敵意を抱いたということがないのは、今になって考えると、
深重以上の不思議ではないか。といって、未《いま》だ曾《かつ》てあのお喋りに、わた....
「追憶」より 著者:宮本百合子
る様な口調で話した。 子供にお噺だと云う感じを一寸も持たせなかった程、真面目に
深重な様子であったので、私は彼の言葉のままに世界を作り無花果を食べ、大きな石を積....
「飛騨の顔」より 著者:坂口安吾
亀背上の文字を録したのちに、その文字の作者は更々実情を知らざるものである、と意味
深重な註釈をつけているのです。そして、聖徳太子の死んだのは、その皇妃の死んだ二月....
「自警録」より 著者:新渡戸稲造
れにかちて我《が》を立てず義理を立つるが男|伊達《だて》なり の一首まことに
深重《しんちょう》の味がある。ことに上《かみ》の句の「人《ひと》にまけ」のごとき....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
、そしてそれを一個の焼けただれた壺として見れば、その壺のおもてに、わたくしはあの
深重な肉霊の輪廻をまざまざと知覚するのである。死灰から更生した壺の胴まわりには怪....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
対する反抗心、等々が、「歎異抄」を一貫して流れている思想によって、煩悩熾盛・罪悪
深重の自覚を呼びさます機縁となっているせいなのかもしれない。すべてそうしたことは....
「或る秋の紫式部」より 著者:岡本かの子
して聴く) 聖「筏を漕ぐ、浪の音が聞える……あれは聖衆の乗らるる迎えの舟だ。五濁
深重の此岸を捨てて常楽我浄の彼岸へ渡りの舟。櫂を操る十六大士のお姿も、追々はっき....
「親鸞」より 著者:三木清
陀の本願には老少善悪のひとをえらばず、ただ信心を要とすとしるべし。そのゆへは罪悪
深重、煩悩熾盛の衆生をたすけんがための願にてまします。しかれば本願を信ぜんには、....
「法然行伝」より 著者:中里介山
きよせて、 「わしはもう老病で遠くはあるまい。対面も今日が限りだろう。お前も罪悪
深重の人であるから必ず念仏をして、わしと同じ様に浄土へまいるようになさい。仮令《....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
歌とても、すべてただうたとかでなければならなくなったということは、まことに意味の
深重なものがある。これは一種の自己限定であるともいえるし、自己分裂であるともいえ....