混濁[語句情報] » 混濁

「混濁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

混濁の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
広津氏に答う」より 著者:有島武郎
たことをするならば、その人は純粋なるべき思想の世界を、不必要なる差し出口をもって混濁し、なんらかの意味において実際上の事の進捗《しんちょく》をも阻礙《そがい》す....
土曜夫人」より 著者:織田作之助
とにもならなかったが、やはりアルプだった。銀ちゃんは前後不覚に酔っぱらい、意識が混濁したまま、坂野の細君と妙な関係になってしまった。細君も女に似ず強かったが、さ....
如是我聞」より 著者:太宰治
混乱があるかも知れない。しかし、それは、金魚鉢に金魚|藻を投入したときの、多少の混濁の如きものではないかと思われる。 それでは、私は今月は何を言うべきであろう....
仮装人物」より 著者:徳田秋声
をそれとなく匂わした。 独りになってみると、部屋がにわかに広々してみえ、陰鬱に混濁した空気が明るくなったように見えた。気もつかないうちに、春はすでに締め切った....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
。むろん梅津先生は御重態どころではない。その前日の急変以来眼も、耳も、意識も全く混濁しているとしか思えないので、単に呼吸して居られる。脈が微に手に触れるというだ....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
涙もろくひょろりと立っている。 仰げば朝焼けで、一天が燃えている。夕焼のように混濁した朱でなくて、聖くて朗らかな火である。富士の斜面のヒダは、均整せられて、端....
二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
海面下において、不慮の衝突事件を惹起せり。若干の爆発音を耳にする。海水は甚だしく混濁し、咫尺を弁ぜず。余は直に――」 電文は、そこで、ぷつりと切れている。通信....
白い下地」より 著者:泉鏡花
、或る意味から之をいえば、純なる色を発揮せしむることは困難といい得る。さればこそ混濁された色が流行するようになって来た。かの海老茶袴は、最もよくこれ等の弱点を曝....
現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
ある帝都は、約半カ年に渡って戒厳令下にあった。この一連の現象が又本年度の思想界の混濁した色調をなしている。 事件の発生そのものは、誰がなんと云おうと要するに日....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
は、外套を着た蟻のようで、電車と自動車が大昆虫のごとく跳梁奔馳する。瓦礫、烟塵、混濁の巷に面した、その中へ、小春の陽炎とともに、貸本屋の店頭へ、こうした娘姿を映....
露肆」より 著者:泉鏡花
え高うはせず、そのニコチンの害を説いて、一吸の巻莨から生ずる多量の沈澱物をもって混濁した、恐るべき液体をアセチリンの蒼光に翳して、屹と試験管を示す時のごときは、....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
眠とでも云う状態なのか、或は魅惑性精神病発作の最初数分間に現われる、強直性の意識混濁状態だったのか――孰れにしろ、その点は至極分明を欠くけれども………、兎に角斯....
物理学の応用について」より 著者:寺田寅彦
の分布などを区別して考えなければならぬ。次には海水自身を区別してその塩分の多少、混濁物や浮遊生物の多少などによっての差を考えねばならない。また海面の静平であるか....
切捨御免」より 著者:坂口安吾
を寄せ集めた似顔がつくられ、個々の意見の上に色々と他からの影響が作用して、記憶は混濁しているに極っているのだ。したがって、自分ではハッキリ記憶したつもりの顔が、....
地上」より 著者:島田清次郎
――聞いていたまえ、読むから」尾沢は深井と平一郎を見比べるように、哀願と誇りを混濁させたような表情をして、「己という人間がどんな人間かは大体分るだろうと思う。....