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添う
「添う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
添うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
はそれを知ると、流し目にじろりと彼の顔を見て、
「おぬしは、お頭《かしら》に付き
添うていればよい。十郎の始末は、小盗人《こぬすびと》でたくさんじゃ。」と、あざけ....
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
。が、近頃は「賑か」と云っても、どこか又窮屈にも違いなかった。それは唯玄鶴につき
添う甲野と云う看護婦の来ている為だった。尤も武夫は「甲野さん」がいても、ふざける....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
《かい》があって、ある日城下に近い海岸を通りかかると、忍駕籠《しのびかご》につき
添うた二人の若党が、漁師たちを急がせて、舟を仕立てているのに遇《あ》った。やがて....
「或る女」より 著者:有島武郎
引き離そうとしたが、若者はむずかる子供のように地だんだを踏んでますます葉子に寄り
添うばかりだった。船首のほうに群がって仕事をしながら、この様子を見守っていた水夫....
「或る女」より 著者:有島武郎
熱い口びるでかみしめて労《いたわ》ってやりたいほどだった。しかし思いのままに寄り
添う事すらできない大道《だいどう》であるのをどうしよう。葉子はその切《せつ》ない....
「星座」より 著者:有島武郎
》も手伝っていた。清逸が横になると、まめまめしく寝床をまわり歩いて、清逸の身体に
添うて掛蒲団をぽんぽんと敲《たた》きつけてくれた。
清逸は一昨日ここに帰ってき....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
い、実体もので、身が定まってからも、こうした御機嫌うかがいに出る志。お主の娘に引
添うて、身を固めて行く態の、その円髷の大いのも、かかる折から頼もしい。 煙草屋....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
自から、衣紋の位に年|長けて、瞳を定めたその顔。硝子戸越に月さして、霜の川浪|照
添う俤。膝|立据えた畳にも、燭台の花颯と流るる。 「ああ、待てい。」 と捻平、....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
うに、大路、小路、露地や、背戸や、竹垣、生垣、妻戸、折戸に、密と、人目を忍んで寄
添う風情に、都振なる雪女郎の姿が、寒くば絹綿を、と柳に囁き、冷い梅の莟はもとより....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
、漆のようなのと、真蒼なると、赭のごときと、中にも雪を頂いた、雲いろいろの遠山に
添うて、ここに射返されたようなお君の色。やがて傘一つ、山の端に大な蕈のようになっ....
「橋」より 著者:池谷信三郎
しいものであることに驚いた。部屋の戸口に、新婚の夫婦の靴が、互いにしっかりと寄り
添うようにして、睦しげに取り残されていた。 ZIG・ZAGに急な角度で建物の壁....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
この飾もまた、光を放って、腕を開くと胸がまた晃きはじめた。 この光、ただに身に
添うばかりでなく、土に砕け、宙に飛んで、翠の蝶の舞うばかり、目に遮るものは、臼も....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
ょう。何だか気草臥れでもしたようで、頭も脚もふらふらします。」 歩を移すのに引
添うて、身体で庇うがごとくにしつつ、 「ほんとに驚いたんですか。そういえば、顔の....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
、村人も、往来も、いつまたたく間か、どッと溜った。 謹三の袖に、ああ、娘が、引
添う。…… あわれ、渠の胸には、清水がそのまま、血になって湧いて、涙を絞って流....
「可愛い山」より 著者:石川欣一
く、蝋燭で岩に線を引いて見た。伝って来た雫が、ここまで来て蝋にぶつかり、その線に
添うて横にそれるだろうとの案であった。しばらくはこれも成功したが、間もなく役に立....