添乳[語句情報] »
添乳
「添乳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
添乳の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「職工と微笑」より 著者:松永延造
て、他の都市へと行った。 郊外には主人が留守で、美しく若い夫人丈が淋しく子供に
添乳なぞをしている家が多い。私はそんな家の扉口へ立つと、大きな笊の上を蔽った手拭....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
半の襖《ふすま》を隔てて南向の室《へや》には細君が数え年三つになる、めん子さんと
添乳《そえぢ》して横になる。花曇りに暮れを急いだ日は疾《と》く落ちて、表を通る駒....
「海異記」より 著者:泉鏡花
犬張子が横に寝て、起上り小法師のころりと坐った、縁台に、はりもの板を斜めにして、
添乳の衣紋も繕わず、姉さんかぶりを軽くして、襷がけの二の腕あたり、日ざしに惜気な....
「家」より 著者:島崎藤村
て、そこに寐かしてあった。 「それ、うまうま」 とお雪は煩さそうに横に成って、
添乳をしながら復た自分の着物を眺めた。 午睡から覚めた時の彼女は顔の半面と腰骨....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
……………」
「……彼は松園の隠れ家に何喰わぬ顔をして帰って来ると、何も知らずに
添乳をしているT子に向って誠しやかな出鱈目を並べた。……絵巻物は和尚か誰かが、取....
「女客」より 著者:泉鏡花
しばらくここに逗留している、お民といって縁続き、一蒔絵師の女房である。 階下で
添乳をしていたらしい、色はくすんだが艶のある、藍と紺、縦縞の南部の袷、黒繻子の襟....
「昔の思い出」より 著者:宮本百合子
た作家であることを感じさせられた。何でも題は忘れたけれども、電燈の下で赤ちゃんに
添乳していて、急に、この頭の上の電球が破裂して、子供に怪我をさせはしないかと考え....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
は気になる。はははは。」 「御免なさいましよ。」 と客に云って、細君は、小児に
添乳の胸白く、掻巻長う、半ば起きて、 「串戯ではなくってよ。貴郎が持って来て、あ....
「南北の東海道四谷怪談」より 著者:田中貢太郎
来たところであった。伊右衛門は上へあがってお岩の寝ている蚊帳の傍へ往った。嬰児に
添乳をしていたお岩は気配を感じた。 「油を買ってきたの」 お岩は伊右衛門の留守....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
供しまする次第。まずは右のため口上。東西。……いよいよこれより鯨の潮ふき、母鯨が
添乳《そえち》のさま、つぶさにご覧に入れますところなれど、しょせん田舎生れの鯨ゆ....
「我が円朝研究」より 著者:正岡容
怪談乳房榎」の挿絵、圓朝とは國芳門下の同門である落合芳幾が描いている。真与太郎に
添乳しているおきせの寝姿の艶かしさなど、夏の夜の美女の魅惑を描いてよほどの作品で....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
らやな 母なかせ この子守唄は、この前ここへ立ち寄った時、良人の留守をまもって
添乳していた梅軒の妻が唄っていたものであるのに、その伊勢|訛りのある節がそのまま....
「童子」より 著者:室生犀星
関へ出してあるのです。いただきますと言って持ってくるんですが、奥さんは寝そべって
添乳してめったに出ていらっしゃりません。」 「いつでもかい。」 「いつでも、出し....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
と開くような物音がしたのに、そのまま上がって来る者もない不気味な気配に、お袖は、
添乳していたお燕の寝顔をそっと離して―― 「たれなの?」 と、白い胸肌をつくろ....