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清冷
「清冷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
清冷の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「魔法修行者」より 著者:幸田露伴
の位であったと思う。或記によればおよそ三千石ほどだったというのである。如何に簡素
清冷に御暮しになったとて、三千石ではどうなるものでもない。ましてお公卿様などは、....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
てたように、足もとに散らばりはじめた、東の空に、どうしても忘れられない富士山が、
清冷|凜烈なる高層の空気に、よくも溶けないとおもわれるような、しなやかな線を、八....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
王が人民と雑《まざ》って飲もうとするを伍子胥《ごししょ》が諫《いさ》めて、昔白竜
清冷の淵に下り化して魚となったのを予且《よしょ》という漁者がその日に射|中《あ》....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
来のエルサレム「伊勢の国」を感得する。但しこのエルサレムは、巡礼者の心をして厳粛
清冷なる神気を感ぜしむる先に、華やかにして豊かなる伊勢情調が、人を魅殺心酔せしめ....
「雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
いわれわれの祖先の世に遊んでいた。 朗詠の歌の詞は「新豊の酒の色は鸚鵡盃の中に
清冷たり、長楽の歌の声は鳳凰管の裏に幽咽す」というのだそうであるが、聞いていても....
「梅花の気品」より 著者:豊島与志雄
ある。その一本の老樹のたたずまいと、その清らかな花の姿と、その脈々たる香と、その
清冷な早朝の空気とは、ただ一つ梅花の気品となって、人の心にしみ通るであろう。それ....
「朝やけ」より 著者:豊島与志雄
あちこちに焼け残りのビルが真黒くつっ立っていた。陰欝な夜と眺望だ。――今朝のこの
清冷な朝焼けとは、まるで雲泥の相違だった。 おれを此処に引張って来た園部も、こ....
「雪代山女魚」より 著者:佐藤垢石
嗜欲の情そぞろに起こって、我が肉虜おのずから肥ゆるを覚えるのである。けれど、この
清冷肌に徹する流水に泳ぐ山女魚の鮮脂を賞喫する道楽は、深渓を探る釣り人にばかり恵....
「松園女史の思い出」より 著者:金子薫園
私は、 初夏のお池の南清らなる冷たき水のごとき 君住む と詠んだように、それは
清冷な京の水を想わせるおもかげとものごしをもっていた。その声は高貴な金属的のさや....