清朗[語句情報] » 清朗

「清朗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

清朗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
栃の実」より 著者:泉鏡花
た。 草に巨人の足跡の如き、沓形の峯の平地へ出た。巒々相迫った、かすかな空は、清朗にして、明碧である。 山気の中に優しい声して、「お掛けなさいましな。」軒は....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
の野をなつかしく思って一夜|宿た、というのである。全体がむつかしくない、赤人的な清朗な調べの歌であるが、菫咲く野に対する一つの係恋といったような情調を感じさせる....
反抗」より 著者:豊島与志雄
でるがよう。軽い眩暈と恍惚の情とが相次いで起ってくる。時々嘔気を催す。然し精神は清朗明晰を極めてるがように感ぜらるる。 母がしきりにこちらを窺ってるのが分....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
体を流れていた。彼は夢想にふけり始めた。血潮は穏かな大きい波をなして流れていた。清朗な感覚は微妙な清新さでごくわずかな印象をも感じていた。彼は自分の力と青春とを....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
もがくのだ!……」 かくてクリストフは、ゲーテの偉大な言葉を、まだその尊大なる清朗さには到達していなかったけれども、みずから知らずして注釈したのであった。 ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
食《えじき》をつかむように、人生をつかみ取り、それを空中に運び去り、それとともに清朗な空間に上昇することだ。……そのためには、爪《つめ》と大きな翼と力強い心とが....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
自分の保全をつとめるようになる。 二人はたがいに充実し合っていた。オリヴィエは清朗な精神と病弱な身体とをもっていた。クリストフは強力と落ち着きのない魂とをもっ....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
い。それは勇壮なる交響曲であって、たがいに衝突し入り乱れる不協和音までが、一つの清朗な協奏をなしている。静寂のうちに奮闘してる※《ぶな》の森のように、生は永遠の....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
見えぬ野人の手に扱われる銀の鋤《すき》――その平和を汝はもっている。 音楽よ、清朗なる友よ、下界の太陽の荒々しい光に疲れた眼には、月光のごとき汝の光がいかに快....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
て、人々は思わず道を開いた。彼の蒼白《そうはく》さに心を打たれたのか、またはその清朗さに心を打たれたのか、人々はいずれとも自らわからなかった。司教は自ら御殿と呼....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
いねい》の中に、足をふみ入れながら、頭は光明に包まれて、彼は生きる。彼は堅実で、清朗で、温和で、平和で、注意深く、まじめで、僅少《きんしょう》に満足し、親切であ....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
知力が口をきく順番となった。もはや風はやんで、炬火《たいまつ》は再びともされた。清朗なる高峰の上には純なる精神の光明がひらめくのが見られた。それこそ壮大なる有益....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
が認められた。 ジャン・ヴァルジャンはしばらくの間、そのおごそかなまたやさしい清朗の気にまったく打たれてしまった。かく我を忘れさせる瞬間もよくあるものである。....
智恵子の半生」より 著者:高村光太郎
頃の一二年間のことであった。しかし病気でも彼女はじめじめしてはいなかった。いつも清朗でおだやかであった。悲しい時には涙を流して泣いたが、又じきに直った。 昭和....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
らざるなり。湾内の風景、また吟胸を洗うに足る。 四日、快晴。一天片雲なく、天気清朗、極めて爽快を覚ゆ。わが十一月ごろの快晴に同じ。しかして気候はわれよりも温暖....