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清涼剤
「清涼剤〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
清涼剤の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
じゅう》のみなぎったようなその顔を下目で快げにまじまじとながめやった。そして苦い
清涼剤でも飲んだように胸のつかえを透《す》かしていた。
やがて事務長が座を立つ....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
を癒すための、まことに爽やかな飲料でもあり、蒸し暑くなって来た気温を和げるための
清涼剤でもありました。 「やあ、とうとう降って来た。凄い大粒だ」 窓近くにいた....
「河明り」より 著者:岡本かの子
私との間には、いわば、睦まじさが平凡な眠りに墜ちて行くのを、強いて揺り起すための
清涼剤に使うものであったから、調子の弾むうちはなお二口三口、口争いを続けながら、....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
なり。吾輩はその説の往々偏癖に流るるものなるを知るも、世の潮流に逆らいて民権熱に
清涼剤を投じたるの功を没すべからずと信ずるなり。帝政論派はもとより一の論派たる価....
「爆弾太平記」より 著者:夢野久作
に練り固めて、縦横十文字に切り型を入れて金粉や銀粉がタタキ付けてある。無害無効の
清涼剤だが、その一枚を三十か四十かに割った三角の一片を出せば、かなりの富豪が三拝....
「若人の要求」より 著者:宮本百合子
の中にいつかあった様な殺人甘味が入れられているとしたら、一匙の氷は、時にとっての
清涼剤だとして安心していられるでしょうか。毎月見る婦人雑誌が、ただただシャボンの....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
した自責の念の余り「反逆の血」を死を以て清算したのであって、華族界に対する一服の
清涼剤として当局も意義深く感じつつ死そのものに対してはむしろ同情しているそうであ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
訝い。 何とも得知れぬ佳い薫が、露出の胸に冷りとする。や、これがために、若衆は
清涼剤を飲んだように気が変って、今まで傍目も触らずにいました蟇の虹を外して、フト....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
とか、その位の音楽を作りたいものだとか云って、これもやっぱりなかなか私にとっての
清涼剤です。夜眠らなくて、とんだ時にマッチをすり、人を起したりして、そう云うスエ....
「さまよえるユダヤ人の手記より」より 著者:寺田寅彦
の家は医家であったので、炎天の長途を歩いて来たわれわれ子供たちのために暑気払いの
清涼剤を振舞ってくれたのである。後で考えるとあの飲料の匂の主調をなすものが、やは....
「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」より 著者:寺田寅彦
不見識な人の多い中に、このような自分の腹から自然に出た些細な不合理はむしろ一服の
清涼剤として珍重すべきもののような感がある。 鳥の脚が変な処にくっついている、....
「アーニイ・パイルの前に立ちて」より 著者:小林一三
り、癪に障ることもあれど、若い人達に会うことの楽しみは老いゆく心淋しさに、一服の
清涼剤を与えられたるごとくに嬉しいのである。 マンションクラブの一夜は、お隣か....
「山吹」より 著者:泉鏡花
えて、崩るるごとく腰を落し、半ば失心す。) 画家 (肩を抱く)ウイスキーです――
清涼剤に――一体、これはどうした事です。 人形使 (びくりびくりと蠢く。) 画家....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
興奮性の物を晩食に用ゆると夜中安眠の害になります。その外|菓物類《かぶつるい》は
清涼剤で身体に薬だといいますけれどもその種類によっては消化の遅いために午後四時か....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
言いながら、竹屋三位、その騒ぎの中をぬけて居間へ入った。実際、かれはそう思った。
清涼剤のような心地がした。 「それにつけても、歯がゆいやつは天堂一角、たかのしれ....