清興[語句情報] » 清興

「清興〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

清興の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
疑惑」より 著者:芥川竜之介
、ようやくこの男の来意が呑みこめたような心もちがした。が、夜中《やちゅう》書見の清興《せいきょう》を破られた事は、依然として不快に違いなかった。 「すると――何....
猿飛佐助」より 著者:織田作之助
隣は何をする人やら」 と呟いたのち、壁に向って、 「――もし、お隣の仁、折角御清興中を野暮な問い掛けでおそれ入るが、お手前はいったいどこの何人でござるか」 ....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
の寒風をおかしながら、わざわざ夜釣りにやって来たのは、タナゴ釣りの豪奢極まりない清興に心惹かれたからでした。手竿は、折りたたむと煙管の長さだけに縮まるところから....
旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
近づいて来ると、ヒラリ馬をすてて、不意にいんぎんに退屈男へ呼びかけました。 「御清興中をお妨げ致しまして相済みませぬ。手前この近くの百姓でござります。川下で馬を....
惜別」より 著者:太宰治
の無力が、列国だけでなく、支那の民衆にも看破せられ、支那の独立性を保持するには打清興漢の大革命こそ喫緊なれとの思想が澎湃として起り、さきに海外に亡命していた孫文....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
ても、それで寒い怠いも言わず、鬼の首を取りもしたかのように独り北叟笑んで、探梅の清興を恣にする。もしそれ南枝の梢に短冊の昔を愛する振舞いに至っては、必ずしも歌句....
御萩と七種粥」より 著者:河上肇
博士が弁ぜられる。そういうことに、予ねて打合せがしてあった。 その日私は当日の清興を空想しながら、 十余年前翰墨間 十余年前翰墨の間、 洛東相会送春還 ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
疑問ですけれども、月夜の晩に、月見の曲を選んで、古今の名文をわがもの面《がお》に清興を気取らず、かなり無邪気な子供らしい声で語るから、人をして声を呑んで泣かしむ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
の曲ということを、兵馬は知らない。 ただ第一に、気を取られたのは、心なく、人の清興を妨げてはならないということでした。 第二に、少なくともこの場合、自分の行....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
されば我々は、寝物語の里を経て、ついうかうかとこれまで迷い込みましたのは、古関の清興は後まわしと致し、先以《まずもっ》て小関の人訪わぬ昔をとぶらわばやとの寸志で....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
因縁が宿っているか、いないか、それはわかりません。 ただ、せっかくのお角さんの清興の席の前へ、右の一団のならず者、よた者が集まって、盆蓙《ぼんござ》を敷いてし....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
囲んでいるところへ、恐る恐る用人が、次の間から伺《うかが》いを立てました、 「御清興中恐れ入りますが、ちとお願いの儀がござりまして……」 「何事じゃ」 「まこと....
汪士秀」より 著者:田中貢太郎
だつ音がそこらから聞えて来た。三人の者は皆怒った。 「何者だ、あの人間は。俺達の清興を敗ったのは。」 すると叟は笑っていった。 「いい、いい。あれは私の家でや....
子規居士と余」より 著者:高浜虚子
汽車に乗って帰った。同級生は皆月の瀬の勝を説いていたが、余は黙って、根岸庵小会の清興を心に繰返えしていた。 さて京都の一年も夢の間に過ぎた。余はその前年の冬休....
大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
眷々の情に堪えざるを、今日のみは、これより夜を徹せん覚悟なれば、悠々として帰心の清興を乱す無く、殊に愈本時刻に入るを喜ぶは、夜行して暁天に近づくを喜ぶに同じく、....