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渇
「渇〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
渇の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「鼻」より 著者:芥川竜之介
ないような顔をしてすましている。これは専念に当来《とうらい》の浄土《じょうど》を
渇仰《かつぎょう》すべき僧侶《そうりょ》の身で、鼻の心配をするのが悪いと思ったか....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
っそう》他人を俗にする事だ。小えんの如きはその例じゃないか? 昔から喉《のど》の
渇《かわ》いているものは、泥水《どろみず》でも飲むときまっている。小えんも若槻に....
「十円札」より 著者:芥川竜之介
のないのは驢馬《ろば》に草のないのも同然である。六十何銭かは堀川保吉に精神的|饑
渇《きかつ》の苦痛を与えた。けれども粟野|廉太郎《れんたろう》には何の痛痒《つう....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
にちれん》と一しょに、沙羅双樹《さらそうじゅ》の花の陰も歩いています。彼等が随喜
渇仰《ずいきかつごう》した仏《ほとけ》は、円光のある黒人《こくじん》ではありませ....
「河童」より 著者:芥川竜之介
は年よりだったし、年をとった時は若いものになっている。従って年よりのように欲にも
渇《かわ》かず、若いもののように色にもおぼれない。とにかくわたしの生涯はたといし....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
蓉《ふよう》が何十株《なんじっかぶ》も、川の水に影を落している。僕は喉《のど》が
渇《かわ》いていたから、早速その酒旗の出ている家へ、舟をつけろと云いつけたものだ....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
が、だんだん脂汗《あぶらあせ》でぬめって来る。そうしてそれにつれて、妙に口の中が
渇いて来る。そこへほとんど、眼球がとび出しそうに眼を見開いた、血相の変っている日....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
ころび、この一本のマニラに火をつけ、夜もすがら気楽に警戒しよう。もし喉《のど》の
渇いた時には水筒のウイスキイを傾ければ好い。幸いまだポケットにはチョコレエトの棒....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
《やぶ》の前へ来ると、宝はこの中に埋めてある、見に来てくれと云いました。男は欲に
渇《かわ》いていますから、異存《いぞん》のある筈はありません。が、女は馬も下りず....
「或る女」より 著者:有島武郎
青年はまもなく自殺同様な死に方をした。一度生血の味をしめた虎《とら》の子のような
渇欲が葉子の心を打ちのめすようになったのはそれからの事である。
「古藤さん愛と貞....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
たたか酒の香を送ってよこすものもあった。彼れは酒の香をかぐと急にえぐられるような
渇きと食欲とを覚えて、すれ違った男を見送ったりしたが、いまいましさに吐き捨てよう....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
というものにも指を染めて見たのだ。お前が知るであろう通りに、お前の個性なる私は、
渇仰的という点、即ち生長の欲求を烈しく抱いている点では、宗教的ということが出来る....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
。クララは第一の世界に生い立って栄耀栄華を極むべき身分にあった。その世界に何故|
渇仰の眼を向け出したか、クララ自身も分らなかったが、当時ペルジヤの町に対して勝利....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
それ等に対してわれ等は頓着せぬ。が、過去の示教に満足し得ず、更に奥へ奥へと智識の
渇望を医せんとする好学の士も、亦決して尠くない。われ等は神命によりて、それ等を指....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
だらしい。けれども萩の四、五株しかない上、落合直文先生の石碑を前にした古池の水も
渇れ/\になっているのは哀れだった。ただこの古池に臨んだ茶室だけは昔よりも一層も....