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「渇望〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

渇望の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
は、思わず同音に嗟《うめ》きぬ。乗り合いは弁者の顔を※《うかが》いて、その後段を渇望せり。 甲者は重ねて感嘆の声を発して、 「おもしろい! なるほど。浴衣の片....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
は、速かに解除警報の御許可を、お与え下さい。市民は、軍部の、正しいアナウンスを、渇望して居ります。一刻おくれると、市民の混乱は拡大いたします」 「敵国空軍が、川....
自叙伝」より 著者:大杉栄
本意ではなかったのだ。二人とも、同じように家を棄てて出て、一人っきりになることを渇望していた。だが僕は、女房とまだ縁が切れずにいる上に、神近や伊藤との関係があっ....
霊訓」より 著者:浅野和三郎
それ等に対してわれ等は頓着せぬ。が、過去の示教に満足し得ず、更に奥へ奥へと智識の渇望を医せんとする好学の士も、亦決して尠くない。われ等は神命によりて、それ等を指....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
事をした。私は今までかつて感知したことのなかったまぼろしの社会というものに対して渇望していたので、実生活の間にそれを漁ると同時に、わたしの幽霊の伴侶に長いあいだ....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
活になっている。その外には能がない。癖といえば癖、病といえば病であろう。あるいは渇望病だという診断が下るかも知れない。そういう病症を癒すに別の処方のあろうはずは....
新しき世界の為めの新しき芸術」より 著者:大杉栄
の瞬間に置いて、今日の時代と共に生きる事を努めなければならない。芸術は其の時代の渇望と引離される事は出来ない。民衆芸術は、民衆の苦痛と、其の希望と、其の闘争とを....
終戦前後」より 著者:織田作之助
出してもぞっとする地獄の三月であった。私たちは、ひたすら外交手段による戦争終結を渇望していたのだ。しかし、その時期はいつだろうか。「昭和二十年八月二十日」という....
役者の一生」より 著者:折口信夫
たのだが、それが源之助の役柄を決定してしまったのであった。こうして源之助は人々の渇望に応えて華々しく世に出たのであるが、それは又一面彼にとって不幸なことでもあっ....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
、彼がいかに弟を愛していたかを示すと共に、一面においては彼がいかに新しい劇作家を渇望していたかを想像することが出来る。この話を聴いてから、団十郎に対するわたしの....
」より 著者:カフカフランツ
身分の低い人たちからもいちばん身分の高い人たちからも同じようにそれとわかるほども渇望されている有様だ。身分の低い者の手に入ったのもほんの一瞬で、すぐにしかるべく....
変身」より 著者:カフカフランツ
きってしめっぽい寝具のなかに身体を投げなければならないときには、いつもいくらかの渇望をもってそうした会話のことを考えたものだった。ところが今では、たいていはひど....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
切とお茶を一杯下すった。けれども腹はなかなか癒えない。なおその喰っただけが食物を渇望する動機になったものかぐうぐう腹が鳴って仕方がない。その上求むることも出来ま....
中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
大世帯ができ上って、政治的に帰洛の見込みのなくなったところでは、都の文化に対する渇望が一層つよくならぬとはいえないであろう。その心が和歌を熱愛させる。和歌はすで....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
らゆる交響曲が一つの勝利を表わしているところの、宏大な戦いの十年間の後に、幸福を渇望していたこの人がこの世には自分のための幸福はないと覚ったときの自己放棄の言葉....