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「渋く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

渋くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
た。 声も大きいが、身振りも大げさで、何か身につかぬ笑い方だった。藍色の上布を渋く着ているが、頭には真紅の派手なターバンを巻いている――そのチグハグさに似てい....
ゆず湯」より 著者:岡本綺堂
徳さんは勘定を受け取りにくる時に、庭の青柿の枝をたくさんに切って来てくれて、 「渋くってとても食べられません、花活けへでもお※しください。」と言った。なるほど粒....
青春の逆説」より 著者:織田作之助
通男たちは例外なしに、多少とも気取ってはいって来るものである。わざと何気ない顔を渋くつくろう方などは良い方で、レコードの調子に合せてステップを踏みながら席につく....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
。 徳さんは勘定を受取りにくる時に、庭の青柿の枝をたくさん切って来てくれて、「渋くってとても食べられません、花活けへでもお挿しください。」と云った。 なるほ....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
―結膜炎だか、のぼせ目だか、何しろ弱り目に祟り目でしょう。左の目が真紅になって、渋くって、辛くって困りました時、お雪さんが、乳を絞って、つぎ込んでくれたのです。....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
はい、それさ、そのキャアだから、お前様、どうした仁右衛門と、云うと、苦虫が、面さ渋くして、(ああ、厭なものを見た。おらが鼻の尖を、ひいらひいら、あの生白けた芋の....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
んと一口|遣ろうではないか、ええ、捻平さん。」 「また、言うわ。」 と苦い顔を渋くした、同伴の老人は、まだ、その上を四つ五つで、やがて七十なるべし。臘虎皮の鍔....
菎蒻本」より 著者:泉鏡花
半纏着は、肩を斜っかいに、つかつかと寄って、 「待てったら、待て。」とドス声を渋くかすめて、一つしゃくって、頬被りから突出す頤に凄味を見せた。が、一向に張合な....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
のごとく売るものは、黒く紫な山葡萄、黄と青の山茱萸を、蔓のまま、枝のまま、その甘渋くて、且つ酸き事、狸が咽せて、兎が酔いそうな珍味である。 このおなじ店が、筵....
南地心中」より 著者:泉鏡花
、ついわざとらしいまで、不断着で出たらしい。コオトも着ない、羽織の色が、派手に、渋く、そして際立って、ぱっと目についた。 髪の艶も、色の白さも、そのために一際....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
のような小さい魚が一つ釣り上げられて、それでも魚並みに跳ねている。 ――あなたも渋くなったわね。すっかり巴里を卒業したのよ。」 リサは感に堪えたように言った。....
可能性の文学」より 著者:織田作之助
げ込もうとする文学である。そして、彼等はただ老境に憧れ、年輪的な人間完成、いや、渋くさびた老枯を目標に生活し、そしてその生活の総勘定をありのままに書くことを文学....
深川女房」より 著者:小栗風葉
「へい。ですが、こないだ腫んでた皮を赤剥けにして、親方に譴られましたもの……」と渋くったが、見ると、お上さんは目を真赤に泣き腫らしているので、小僧は何と思ったか....
荘子」より 著者:岡本かの子
でした」 「まあ、そうむきにならなくとも宜い。先生は田舎へ退隠なされてからずっと渋くおなりなされたのです」 「そう仰ればもとはあんなにお美しかったお顔も鉛色にお....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
も裏もまるで黄金のように黄ろく光って眩しかった。それを我慢して見詰めていると目が渋くなって涙が浸み出して来た。慧鶴は「禅関策進」を懐へ入れて部屋へ帰った。 そ....