渋み[語句情報] »
渋み
「渋み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
渋みの前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
てなんのうろたえも見せないのです。そのうえ、どことはなく人品|骨柄《こつがら》に
渋みがあって鍛えられたところがあって、寂《さ》び冴《さ》えすらもがたたえられて、....
「爛」より 著者:徳田秋声
除れて来た。櫛だの半襟だの下駄などの好みにも、下町の堅気の家の神さんに見るような
渋みが加わって来た。どこか稜ばったところのあった顔の輪郭すら、見違えるほど和らげ....
「青年」より 著者:森鴎外
歩くものが自分ひとりになると共に、この頃の朝の空気の、毛髪の根を緊縮させるような
渋み味を感じた。そして今小女に聞いた大石の日常の生活を思った。国から態々逢いに出....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
《しずく》に熟し腐るを山賤見出して持ち返り、麻袋へ入れ搾りし物にて黒く濃くして味
渋みに甘きを兼ねていかさま仙薬ともいうべき物なりと、熊野にも稀《まれ》にありと聞....
「小景」より 著者:宮本百合子
それは、今を盛に咲き満ちた見事な西洋蘭の一鉢であった。 鮮やかな形のうちに清い
渋みをたたえたライラック色の花弁は、水のように日を燦かすフレームの中で、無邪気な....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
ひびきを持っている。そして一首は常識的な平板に陥らず、末世人が舌不足と難ずる如き
渋みと厚みとがあって、軽薄ならざるところに古調の尊さが存じている。これがあえて此....
「昭和二年の二科会と美術院」より 著者:寺田寅彦
の人の美しい素質が輝いて来ると思う。 ビッシエール。 この人の絵には落ち着いた
渋みの奥にエロティックに近い甘さがある。ことしのは少し錆が勝っている。近ごろだい....
「傷痕の背景」より 著者:豊島与志雄
。君も父の子だ……と。どうにか生活出来るか……と。酒がうまそうである……。年齢の
渋みのかかった艶のいい皮膚、半白の髪、毛の長い眉、底の見透せぬ老成した眼付、意志....
「学生と生活」より 著者:倉田百三
のある娘たちを要求すれば、そうした娘たちがあらわれてくる。娘たちが逞しく、しかし
渋みがあって、少し憂鬱な青年を好めばそうした青年が本当にあらわれてくる。かように....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
傾向はこの刺戟が作用していることはいなまれない。私たちは幼少のころ現実的な労苦と
渋みに対し、鍛錬されることがあまりに足りなかった。浄瑠璃と共に報徳教的なものを教....
「寺町」より 著者:岩本素白
の駕籠が、その葬列の中に、有りとも見えず護られて居るのである。潔癖、意地、凝り、
渋み、そういう江戸の伝統を伝えたといわれる此の人の、これが最後の註文の一つであっ....