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渋紙
「渋紙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
渋紙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「手紙」より 著者:芥川竜之介
寝をしたりするだけです。五六日前の午後のことです。僕はやはり木枕をしたまま、厚い
渋紙の表紙をかけた「大久保武蔵鐙《おおくぼむさしあぶみ》」を読んでいました。する....
「星座」より 著者:有島武郎
窺《うかが》った。垢染《あかじ》みて、貧乏|皺《じわ》のおびただしくたたまれた、
渋紙のような頬げたに、平手で押し拭われたらしい涙のあとが濡れたままで残っている。....
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
である。栗が渋い内皮をもっているのは昆虫類に対する防禦《ぼうぎょ》である。人間も
渋紙で物を包んで水の浸入に備えたり、渋面《じゅうめん》をして他人との交渉を避けた....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
もこの溝の左角《ひだりかど》が、合羽屋《かっぱや》、は面白い。……まだこの時も、
渋紙《しぶかみ》の暖簾《のれん》が懸《かか》った。 折から人通りが二、三人――....
「食魔」より 著者:岡本かの子
てはと、逸子は子供を紐で負い替え本座敷の支度にかかった。 畳の上には汚れ除けの
渋紙が敷き詰めてある、屏風や長押の額、床の置ものにまで塵除けの布ぶくろが冠せてあ....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
るように命じた。 「たしかに昨日掘った辺りだと思いますがね」 人夫は皺だらけの
渋紙のような顔に困惑の色を浮べながら、 「事によるともう少し左寄りだったかも知れ....
「蘆声」より 著者:幸田露伴
のような藍の細かい縞物の筒袖単衣の裙短なのの汚れかえっているのを着て、細い手脚の
渋紙色なのを貧相にムキ出して、見すぼらしく蹲んでいるのであった。東京者ではない、....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
いて、やがて例の桐油合羽を開いて、私の天窓からすっぽりと目ばかり出るほど、まるで
渋紙の小児の小包。 いや! 出来た、これなら海を潜っても濡れることではない、さ....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
た篝火の残余である。 この明で、白い襟、烏帽子の紐の縹色なのがほのかに見える。
渋紙した顔に黒痘痕、塵を飛ばしたようで、尖がった目の光、髪はげ、眉薄く、頬骨の張....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
ハイ大いに考えたのです。そしてとうとう一策を案出したのです。それは監房の中に黒い
渋紙を貼った塵取がありますから、ガラス窓を外して、その向側にそれを当てて見るので....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
、その子孫の今の神主も、猿田の面と全く同じように鼻が高くて目がまるくて、どす黒い
渋紙のような顔色をしているそうです。もっとも、あの近辺の村人も神主の顔を直々見た....
「独房」より 著者:小林多喜二
から顔をそむけて、 「バカ! 共産党が泣くかい。」 と云った。 箒。ハタキ。
渋紙で作った塵取。タン壺。雑巾。 蓋付きの茶碗二個。皿一枚。ワッパ一箇。箸一ぜ....
「あのころ」より 著者:上村松園
の店は表があげ店になっていて、夜になるとたたんで、朝になると下へおろし、その上に
渋紙を張った茶櫃を五つ六つ並べておきます。 店の奥には棚ものといって上等のお茶....
「肉腫」より 著者:小酒井不木
、患者が麻酔から醒めたときいて、直ちに病室を見舞った私は、白布の中からあらわれた
渋紙色の顔に向って慰めるように言った。寝台を取り囲んで細君も看護婦も不安げに彼の....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
騒ぎだ。ましてやその他の月卿雲客、上臈貴嬪らは肥満の松風村雨や、痩身の夷大黒や、
渋紙面のベニスの商人や、顔を赤く彩ったドミノの道化役者や、七福神や六歌仙や、神主....