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渋紙色
「渋紙色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
渋紙色の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蘆声」より 著者:幸田露伴
のような藍の細かい縞物の筒袖単衣の裙短なのの汚れかえっているのを着て、細い手脚の
渋紙色なのを貧相にムキ出して、見すぼらしく蹲んでいるのであった。東京者ではない、....
「難船小僧」より 著者:夢野久作
皆して色々云うもんですからね……ハハハ……」 船長の表情は依然として動かない。
渋紙色の仮面が、頭の上の青空に凍り付いたように動かない。無表情もここまで来ると少....
「平凡」より 著者:二葉亭四迷
ず黒の山高帽がヌッと入って、続いて縞のズボンに靴の先がチラリと見えたかと思うと、
渋紙色した髭面《ひげつら》が勃然《むッくり》仰向《あおむ》いたから、急いで首を引....
「百花園」より 著者:宮本百合子
を泥にしまいと気にして、度々居ずまいをなおした。頭のてっぺんが平べったいような、
渋紙色の長面をした清浦子は、太白の羽織紐をだらりと中央に立っていたが、軈《やが》....
「四谷怪談」より 著者:田中貢太郎
そう云えば、読めた、鬼、外道」 お岩の眼はみるみる釣りあがった。顔の皮が剥けて
渋紙色をした眼の悪い髪の毛の縮れた醜い女の形相は夜叉のようになった。茂助は驚いて....
「ゴルフ随行記」より 著者:寺田寅彦
ャディが三人、一人はスマートで一人はほがらかな顔をしているがいずれも襟頸の皮膚が
渋紙色に見事に染めあげられている。もう一人はなんだか元気がなくて襟頸もあまり焼け....
「海神に祈る」より 著者:田中貢太郎
の時五十二になる権兵衛の面長なきりっとした顔は、南の国の強い陽の光と潮風のために
渋紙色に焦げて、胡麻塩になった髪も擦り切れて寡くなり、打裂羽織に義経袴、それで大....
「鶏」より 著者:森鴎外
六本立っている。 車から降りるのを見ていたと見えて、家主が出て来て案内をする。
渋紙色の顔をした、萎びた爺さんである。 石田は防水布の雨覆を脱いで、門口を這入....
「肉腫」より 著者:小酒井不木
、患者が麻酔から醒めたときいて、直ちに病室を見舞った私は、白布の中からあらわれた
渋紙色の顔に向って慰めるように言った。寝台を取り囲んで細君も看護婦も不安げに彼の....
「参宮がえり」より 著者:田中貢太郎
。 舟は波のうねりのすくない岩陰に繋がれて陸へは橋板が渡された。その舟には顔の
渋紙色をした六十に近い老人と三十位の巌丈な男が艪を漕ぎ、十八九に見える女が炊事を....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
一度も掛替えたことのないらしい摩利支天《まりしてん》か何かの掛物がかけてあって、
渋紙色《しぶがみいろ》に古びた安箪笥《やすだんす》の上には小さな仏壇が据えられ、....