渋茶[語句情報] » 渋茶

「渋茶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

渋茶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
高野聖」より 著者:泉鏡花
ばねばならぬ人家が近づいたのも、たかがよくされて口の臭《くさ》い婆《ばあ》さんに渋茶を振舞《ふるま》われるのが関の山と、里へ入るのも厭《いや》になったから、石の....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
れども、娘なんぞ寄っても着かない、……ばかりでない。この霜夜に、出しがらの生温い渋茶一杯|汲んだきりで、お夜食ともお飯とも言い出さぬ。座敷は立派で卓は紫檀だ。火....
春昼」より 著者:泉鏡花
ほんの草葺でありますが、些と御帰りがけにお立寄り、御休息なさいまし。木葉を燻べて渋茶でも献じましょう。 荒れたものでありますが、いや、茶釜から尻尾でも出ましょ....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
っている。 御柱を低く覗いて、映画か、芝居のまねきの旗の、手拭の汚れたように、渋茶と、藍と、あわれ鰒、小松魚ほどの元気もなく、棹によれよれに見えるのも、もの寂....
栃の実」より 著者:泉鏡花
その、いずれに向っても、もはや通じないと言うのである。 茶店の縁に腰を掛けて、渋茶を飲みながら評議をした。……春日野の新道一条、勿論不可い。湯の尾峠にかかる山....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
して描いたような、ちょっとした葭簀張の茶店に休むと、媼が口の長い鉄葉の湯沸から、渋茶を注いで、人皇何代の御時かの箱根細工の木地盆に、装溢れるばかりなのを差出した....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
だか、風だか、ふらふらと野道山道宿なしの身のほまちだ。 一言ぐらい口を利いて、渋茶の一杯も、あのお手からと思いましたがね、ぎょっとしたのは半分焦げたなりで天幕....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
減で、ふわりと帰る事もあろう。 「まあ一服さっせえまし、和尚様とは親類づきあい、渋茶をいれて進ぜますで。」 とにかく、いい人に逢った。爺さんは、旧藩士ででもあ....
湯女の魂」より 著者:泉鏡花
あります、その町の半頃のと有る茶店へ、草臥れた足を休めました。 二渋茶を喫しながら、四辺を見る。街道の景色、また格別でございまして、今は駅路の鈴の....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
は入込でお客が一杯という勢、とうとう蔵の二|戸前も拵えて、初はほんのもう屋台店で渋茶を汲出しておりましたのが俄分限。 七年目に一度顔を見せましてから毎年五月雨....
黒百合」より 著者:泉鏡花
ちこれである。媼は、誰とも、いかなる氏素性の少年とも弁えぬが、去年秋銃猟の途次、渋茶を呑みに立寄って以来、婆や、家は窮屈で為方がねえ、と言っては、夜昼|寛ぎに来....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
の机のわきへ据えた処で、……おなじ年ごろの家内が、糠味噌いじりの、襷をはずして、渋茶を振舞ってみた処で、近所の鮨を取った処で、てんぷら蕎麦にした処で、びん長鮪の....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
に御成人じゃな。」 「お恥かしゅう存じます。」 「久しぶりじゃ、ちと庫裡へ。――渋茶なと進ぜよう。」 「かさねまして、いずれ伺いますが、旅さきの事でございますし....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
びて背戸の映山紅が真紅だった。つい一句を認めて、もの優しい茶屋の女房に差出すと、渋茶をくんで飲んでいる馬士が、俺がにも是非|一枚。で、……その短冊をやたらに幾度....
活人形」より 著者:泉鏡花
誰も手出しは致しません、何と、短銃では、岩見重太郎宮本の武蔵でも叶いますまい。と渋茶を一杯。舌を濡して言を継ぎ、「串戯はさて置き、まだまだ気味の悪いのは。と声を....