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渓谷
「渓谷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
渓谷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白」より 著者:芥川竜之介
とんど死を覚悟していた。然《しか》るにどこからか黒犬が一匹、一行のさまよっていた
渓谷《けいこく》に現れ、あたかも案内をするように、先へ立って歩き出した。一行はこ....
「槍が岳に登った記」より 著者:芥川竜之介
いて、紫がかった鉛色の陰を、山のすぐれて高い頂にはわせている。山に囲まれた細長い
渓谷は石で一面に埋められているといってもいい。大きなのやら小さなのやら、みかげ石....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
雲には、しだいに薄気味悪い墨色が加わってきた。そして、その一団の密雲は、ちょうど
渓谷の対岸辺りを縁にして、除々と西北の方角に動きはじめたのであったが、そのうち、....
「鍵から抜け出した女」より 著者:海野十三
力で、城壁のように動かないと思っていた扉がギイッと音をたてて外へ開いたのだった。
渓谷のような深い失望から、たちまち峻岳のように高い喜悦へ、――。 (そうだ。杉箸....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
も二、三万にはなるだろう」 「じゃ、そのゴリラが……、無数と、死体をならべている
渓谷があったとしたら……。ざっと、世界の大学を六百とみて、それに、骨格一つずつ売....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
の伝説であった。 かつて、西班牙植民史には幻の華となって咲き、南米エセクイボの
渓谷にあるとのみ信じられて、マルチネツはじめ、数千の犠牲をのみ尽くした黄金都市が....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
けである。この村からさほど遠くない、おそらく二マイルほどはなれた高い丘に、小さな
渓谷、というよりはむしろ窪地というべきところがあるが、そこは世の中でいちばん静か....
「白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
姿に接することが出来ないまでも、日野春から駒ヶ岳に対するほどの眺めはあろう。早川
渓谷の秋も美しかろう。湯島の温泉も愉快であろう。西山へ、西山へ、画板に紙を貼る時....
「穂高岳槍ヶ岳縦走記」より 著者:鵜殿正雄
側を東北に回り十丁ばかりで、斑岩の大岩小岩が筮木を乱したように崩れかかっている急
渓谷、これが又四郎谷「信濃、又四郎谷、嘉門次」、やや下方に、ざあ、ざっと水の流る....
「一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
は今までの諸記録、殊に『関西学生山岳聯盟報告』第二号のスケッチマップ、及び『山と
渓谷』第九号の黒田正夫氏のものを参考とし、自分たちの観察した所に基いて概念図を作....
「層雲峡より大雪山へ」より 著者:大町桂月
めとし、多くの小湖の散在せるを見るを得べき也。 南に下り、姿見の池を右にして、
渓谷の中に入る。天地は椴松と白樺とに封ぜられたり。渓即ち路也。水、足を没す。膝ま....
「明治懐顧」より 著者:上村松園
は洋服にわらじ、私ども女は草履に後がけをして一日の行程九里位は平気でした。洛北の
渓谷を歩き廻って、山村の宿に泊まったこともあります。何分二十名位の客が急に泊まる....
「西航日録」より 著者:井上円了
の種類あり。一回の入浴料、最低は四銭五厘にして、最高は二円ないし三円なり。地位は
渓谷間にありて渓流に臨み、やや風景に富む。その流れをエーボンと名づく。 阿盆江畔....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
三、四マイルに過ぎざる小島なれども、港湾の比較的深くして巨舶をつなぐに適すると、
渓谷間に清泉の湧出するありて飲用水を有するとによりて、ここに人の輻湊するに至り、....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
る。 粂吉は立ち上ってつかつかと岩鼻へ出かけて行く。其処の岩鼻は直下数百|尋の
渓谷を瞰下する断崖の頂きで岩は一面に微細な青苔に蔽われている。彼は青苔に草鞋をし....