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渡り
「渡り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
渡りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
く、なつかしく、返って来た。が、彼も弟も、今は昔の彼らではない。
太郎は、橋を
渡りながら、うすいあばたのある顔に、また険しい色をひらめかせた。――
(すると....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
果に流浪して御出でになるとやら、あるいはまた東海の波を踏んで唐土《もろこし》に御
渡りになったとやら、皆目御行方《かいもくおゆくえ》が知れないと申すことでございま....
「河童」より 著者:芥川竜之介
、――たしかに詩人のトックの家に鋭いピストルの音が一発、空気をはね返すように響き
渡りました。
十三
僕らはトックの家へ駆けつけました。トックは右の手にピス....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
るまでにゃ、随分これでも気を揉《も》みましたぜ。」
「へん、そう云う危い橋なら、
渡りつけているだろうに、――」
「冗談云っちゃいけない。人間の密輸入はまだ一度ぎ....
「竜」より 著者:芥川竜之介
き》を路に連ねるもの――まるで目の下の池のまわりは時ならない加茂《かも》の祭でも
渡りそうな景色でございます。これを見た恵印法師《えいんほうし》はまさかあの建札を....
「蜃気楼」より 著者:芥川竜之介
「それだけですよ。きょう僕たちの見たのも。」
僕等は引地川《ひきじがわ》の橋を
渡り、東家《あずまや》の土手の外を歩いて行った。松は皆いつか起り出した風にこうこ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
》るように、口々に彼を呼びかけた。その声はほとんど宿命的に、折角《せっかく》橋を
渡りかけた素戔嗚の心を蕩漾《とうよう》させた。彼は彼自身の腑甲斐《ふがい》なさに....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
しは現に時とすると、攀《よ》じ難い峯《みね》の頂を窮め、越え難い海の浪《なみ》を
渡り――云わば不可能を可能にする夢を見ることがございます。そう云う夢を見ている時....
「或る女」より 著者:有島武郎
ったが、木部は二十五という若い齢《とし》で、ある大新聞社の従軍記者になってシナに
渡り、月並みな通信文の多い中に、きわだって観察の飛び離れた心力のゆらいだ文章を発....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
ない。けれどもまだその外にも僕はいろいろの原因から、どうも俳人と云うものは案外世
渡りの術に長じた奸物らしい気がしていた。「いやに傲慢な男です」などと云う非難は到....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
の匂い、煎豆の音、氷屋の呼声かえッて熱さを加え、立売の西瓜日を視るの想あり。半ば
渡りて立止り、欄干に倚りて眺むれば、両岸の家々の火、水に映じて涼しさを加え、いず....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
たとき、老いぼれのガンパウダーは橋の上に飛びあがった。馬は橋の板を鳴りひびかせて
渡り、向う側についた。そこでイカバッドはちょっとうしろをふりかえり、追手が、きま....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
渡った。一緒にいた従兄の井口知一君が最初に渡ったものだから、私も負けん気になって
渡り、ご愛敬にも途中でしゃがんで樋の中にあった小石を拾って谷間に投げ込んでみせた....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
霜が真白に下りていました。 「今日も、はあお天気になるべいてや。」 と伊作が橋を
渡りながら、一人言のようにいうと、ほかの二人も高い声で、 「そんだ、お天気になる....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
ことを加えるのは或は私事に及び過ぎるのであろう。しかし僕はO君と一しょに両国橋を
渡りながら大川の向うに立ち並んだ無数のバラックを眺めた時には実際烈しい流転の相に....