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渡り鳥
「渡り鳥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
渡り鳥の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
のも、やはり同じ孤児の感情からで、いったん泊めてくれるものと信じ込んでしまうと、
渡り鳥の本能でそのネグラへ帰って来る放浪者のあわれさであった。 「陽子、おれだよ....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
り屋敷の大銀杏の葉が朝日の前に金色《こんじき》にかがやいていた。高い空には無数の
渡り鳥が群れて通った。その青空をみあげているうちに、林之助の頭はまた新しくなった....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
奉公にあがることに決まって、きのうの午頃《ひるごろ》にいそいそして出て行ったよ」
渡り鳥が二人の頭の上を高くむらがって通ったので、翁は思わず空をみあげた。千枝松は....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
れは多分、深いガスのながれや、またそのガスの中から光を慕って蝟集するおびただしい
渡り鳥の大群などによって、偶然にも作られた明暗であり、それがまた尾をつけ鰭をつけ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
紙谷伸子が入って来た。
第六篇 算哲埋葬の夜
一、あの|
渡り鳥……二つに割れた虹
紙谷伸子の登場――それが、この事件の超頂点だった。....
「巴里の秋」より 著者:岡本かの子
冷たくそのうえを上走り始める。中の島の岸杭がちょっと虫ばんだように腐ったところへ
渡り鳥のふん下駄をはいて歩く音の方がふさわしい感じである。巴里に秋が来たのだ。い....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
君はずいぶん見っともないね。だから僕達は君が気に入っちまったよ。君も僕達と一緒に
渡り鳥にならないかい。ここからそう遠くない処にまだほかの沢地があるがね、そこにや....
「経帷子の秘密」より 著者:岡本綺堂
つことにした。明くる二十四日は朝からほがらかに晴れて、秋風が高い空を吹いていた。
渡り鳥の声もきこえた。 お妻も昼のあいだは別に変ったこともなかったが、いわゆる....
「「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
も忍びないことなのだ。 私は、今夜ハチロウを外海へ出そうというのだ。それには、
渡り鳥である鰹鳥を利用する。さらに“Cohoba”をハチロウにもちいて泥々に酔わ....
「叔父と甥と」より 著者:岡本綺堂
さびし雑司ヶ谷 二十九日、英一の三七日、家内の者ども墓参にゆくこと例のごとし。
渡り鳥仰ぐに痛き瞳かな 白木の位牌を取り納めて、英一の戒名を過去帳に写す。戒名....
「黒い旗物語」より 著者:小川未明
なって、太陽は南へと遠ざかって、照らす光が弱くなった時分であります。毎日のように
渡り鳥は、ほばしらの林のように立った港の空をかすめて、暖かな国のある方へ慕ってゆ....
「金の魚」より 著者:小川未明
思い惑いました。 名人の占い者は、もはやこの町にはいませんでした。旅から旅へ、
渡り鳥のように歩く占い者は、どこへかいってしまったのです。金持ちは、いまさらその....
「公園の花と毒蛾」より 著者:小川未明
とに、花はどんなにか驚いたでありましょう。花は、つくづくとはじめて見る敏捷そうな
渡り鳥の、きれいな羽の色と、黒い光った目と、鋭いとがったつめとをながめたのであり....
「曠野」より 著者:小川未明
かったのです。 ただ、小鳥だけが、まれにきて枝にとまって翼を休めました。中でも
渡り鳥は、旅の鳥でいろいろの話を知っていました。街の話もしてくれれば、港の話もし....
「冬のちょう」より 著者:小川未明
ちょうは昨日から、この野の中に一|夜を明かしたのであるが、音のする上を見あげて、
渡り鳥にしては小さいと思ったので、 「あれは、なんですか。」と、花に向かって、た....