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「渡る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

渡るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
英雄の器」より 著者:芥川竜之介
うと云ったそうですな。もし項羽《こうう》に英雄の器があれば、垢を含んでも、烏江を渡るです。そうして捲土重来《けんどちょうらい》するです。面目《めんもく》なぞをか....
犬と笛」より 著者:芥川竜之介
》きが聞えました。 それと同時にまた笠置山《かさぎやま》の方からも、さっと風が渡るや否や、やはりその風の中にも声があって、 「髪長彦さん。髪長彦さん。私《わた....
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
信乃法師《まりしのほうし》、摩利信乃法師」と云う囁き声が、丁度|蘆《あし》の葉に渡る風のように、どこからともなく起ったのは、この時の事でございます。 摩利信乃....
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
す。 「三浦の親は何でも下谷《したや》あたりの大地主で、彼が仏蘭西《フランス》へ渡ると同時に、二人とも前後して歿《な》くなったとか云う事でしたから、その一人息子....
神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
なりません。我々は木々の中にもいます。浅い水の流れにもいます。薔薇《ばら》の花を渡る風にもいます。寺の壁に残る夕明《ゆうあか》りにもいます。どこにでも、またいつ....
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
年若な求馬の心は、編笠に憔《やつ》れた顔を隠して、秋晴れの日本橋《にほんばし》を渡る時でも、結局彼等の敵打《かたきうち》は徒労に終ってしまいそうな寂しさに沈み勝....
奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
でも頭にあるのか、 「鞭声《べんせい》粛々《しゅくしゅく》夜《よる》河《かわ》を渡る」なぞと、古臭い詩の句を微吟《びぎん》したりした。 所が横町《よこちょう》....
お時儀」より 著者:芥川竜之介
を走る汽車の音を「Tratata tratata Tratata」と写し、鉄橋を渡る汽車の音を「Trararach trararach」と写したのがある。なるほ....
温泉だより」より 著者:芥川竜之介
》と引き換えに三百円だけ貰ったのです。ではその死後に受けとる二百円は一体誰の手へ渡るのかと言うと、何《なん》でも契約書の文面によれば、「遺族または本人の指定した....
大川の水」より 著者:芥川竜之介
の渡しの三つは、しだいに一つずつ、いつとなくすたれて、今ではただ一の橋から浜町へ渡る渡しと、御蔵橋《みくらばし》から須賀町へ渡る渡しとの二つが、昔のままに残って....
侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
あらゆる革命に絶望していた。このことだけは今日もなお何か我我の心の底へ滲《し》み渡る寂しさを蓄えている。夢は既に地上から去った。我我も慰めを求める為には何万億|....
俊寛」より 著者:芥川竜之介
は泣く泣く俊寛様へ、姫君の御消息《ごしょうそく》をさし上げました。それはこの島へ渡るものには、門司《もじ》や赤間《あかま》が関《せき》を船出する時、やかましい詮....
」より 著者:芥川竜之介
に皺《しわ》をよせて、笑った。往来の影は、いよいよ長くなったらしい。吹くともなく渡る風のせいであろう、そこここに散っている桜の花も、いつの間にかこっちへ吹きよせ....
さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
。 この覚え書によると、「さまよえる猶太人」は、平戸《ひらど》から九州の本土へ渡る船の中で、フランシス・ザヴィエルと邂逅《かいこう》した。その時、ザヴィエルは....
夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
たつ波頭を蹴散らし蹴散らし、いささかのセンチを目に浮べて、悲喜交々、闘志を抱いて渡る関門の海峡を、逆に白波を追っていた連絡船の中で、夢野久作の正体を発見したので....