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温か
「温か〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
温かの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
よごれた小供の顔と盲のおばあさんを見ると、急にピーター・クロポトキンの「青年よ、
温かき心をもって現実を見よ」という言が思い出された。なぜ思い出されたかはしらない....
「星座」より 著者:有島武郎
減でも悪くすると、自分の床の側におぬいの床を敷かせて、自分の病気は忘れたように検
温から薬の世話まで他人手《ひとで》にはかけなかった。
それよりも何よりも、おぬ....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
をながめやった。 ちょうど親しい心と心とが出あった時に、互いに感ぜられるような
温かい涙ぐましさが、君の雄々しい胸の中にわき上がって来た。自然は生きている。そし....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
いうことになった。ところが太陰表面の温度は平均してほぼ地球のそれに等しくまた最も
温かい所では一五〇度にも達するのであるから、従って太陰には水素雰囲気はあり得ない....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
える。省作は取りあえずはいる。はいって見れば臭味もそれほどでなく、ちょうど頃合の
温かさで、しばらくつかっているとうっとりして頭が空になる。おとよさんの事もちょっ....
「山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
と孝ちゃんが明りに輪かくを浮かせていう。雪がちらちら降ってきた。道に飛ぶと、もう
温かそうな湯の宿のあかりが見えた。あだち屋の炉辺に、雪のついた靴を脱いで、燃えさ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
に、紅の涙を落すを見れば、またこの恋も棄てられず。恐怖と、恥羞に震う身は、人膚の
温かさ、唇の燃ゆるさえ、清く涼しい月の前の母君の有様に、懐しさが劣らずなって、振....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
れに生簀の蓋のように見えるのがあった。日は水を劃って、その板の上ばかり、たとえば
温かさを積重ねた心持にふわふわ当る。 それへ、ほかほかと甲を干した、木の葉に交....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
、あるいは怒濤のごとくに彼を取り巻き、墓の冷気で冷やかになっている彼の顔の上には
温かい愛の眼がそそがれ、一人の友達はその熱情を籠めた手のひらで彼のむらさき色の大....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
るぞ、と真白な咽喉の下を手で払くと、何と、小さな黒子があったんでしょう。 逆に
温かな血の通うのが、指の尖へヒヤリとして、手がぶるぶるとなった、が、引込める間も....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
もったので、そのままにしておきました。 「だが、こういうものをはいたら、ずいぶん
温かいだろうな。」と、夜番はひとりごとをいいました。「なんて上等なやわらかい革が....
「醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
ないだって? まあ、そんなばかげた事は考えない方がいいよ。お前さんここに居れば、
温かい部屋はあるし、私達からはいろんな事がならえるというもの。私はお前さんのため....
「初雪」より 著者:秋田滋
に冷たい屋敷の空気がいよいよ辛くなって来た。人間は齢を重ねるにつれてその肉体から
温かみが失せてゆくものだが、それと同じように、この古色蒼然たる屋敷も、幾世紀かの....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
から出して、手で握ってみた。小鳥の心臓の皷動が、はっきりと手に感じられた。小鳥は
温かだった。私は部屋に戻った。小鳥を握る手に少し力を入れてみた。心臓の皷動は前よ....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
までなよなよと且つすんなりするのを、上手の踊のほかは余り見掛けない。引しまった、
温かい、すっと長い白い脚が、そのまま霞を渡りつつ揺れるかと見える。同じくらいの若....