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温まり
「温まり〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
温まりの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「たき火」より 著者:国木田独歩
げに寒き夜かな。独《ひと》りごちし時、総身《そうしん》を心ありげに震いぬ。かくて
温まりし掌もて心地よげに顔を摩《す》りたり。いたく古びてところどころ古綿《ふるわ....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
まで電話なぞ掛って来たためしはなかった。 それだけに、意外なよろこびだと、胸が
温まりかけたが、しかし、それでやに下るのはだらしがないと、京吉はピシャリと水を掛....
「外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
時分になったら、いっそこいつで足巻でもこさえなすったらいいでしょう。靴下だけじゃ
温まりませんからねえ。これもあのドイツ人の奴が少しでもよけい金儲けをしようと思っ....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
い。座敷の方の話し声がよく聞こえてきた。省作は頭の後ろを桶の縁へつけ目をつぶって
温まりながら、座敷の話に耳をそばだてる。やっぱりそのごやごやした話し声の中からお....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
く見る)ではちょっと夫にきいてみますから。そこはお寒うございます。内にはいってお
温まりあそばせ。 左衛門 お兼。なんだい。 お兼 旅の坊さんなんですがね。三人で....
「黒髪」より 著者:近松秋江
の夜は静かに更けて、厳しい寒さが深々と加わるのを、室内に取り付けた瓦斯煖炉の火に
温まりながら私は落ち着いた気分になって読みさしの新聞などを見ながら女の来るのを今....
「松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
寒い事はない………さゝ御飯を」 これから親子の者にお飯を食べさせたので、大きに
温まりがついた。 三「もし男の胴着や何かは女には着悪いが、家には独身者ですから、....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
いことはありません、時にお茶代の礼に来ましたか」 幸「未だ来ない」 由「へえ腰が
温まり草臥が脱けます、這入ってお出でなさい」 幸「初めてで勝手が知れぬから、代り....
「凩」より 著者:寺田寅彦
も思われぬ。 彼はたぶん恋した事もあろう。そして過ぎ去った青春の夢は今|幾何の
温まりを霜夜の石の床にかすであろうか。 彼はたぶん志を立てた事もあろう。そして....
「蛍」より 著者:織田作之助
っきり自分のものになった今、はじめて浄瑠璃を習いたいというその気持に、登勢は胸が
温まり、お習いやす、お習いやす…… 伊助の浄瑠璃は吃りの小唄ほどではなかったが....
「渡舟場」より 著者:豊島与志雄
けました。火は気持よく燃えてあたりを輝らし、空をぽっと染めました。元彦はその火に
温まりながら、天涯孤客の心境にあって、瞑想に沈みました。酒の酔いの中での瞑想は、....
「氷河」より 著者:黒島伝治
らせられている。共同出兵と云っている癖に、アメリカ兵は、たゞ町の兵営でペーチカに
温まり、午後には若い女をあさりにロシア人の家へ出かけて行く。そこで偽札を水のよう....
「雪の夜」より 著者:織田作之助
が、一人は裾が短く、たぶん大阪からの遠出で、客が連れて来たのであろう。客は河豚で
温まり、てかてかした頬をして、丹前の上になにも羽織っていなかった。鼻が大きい。 ....
「アラン島」より 著者:片山広子
らうか日比谷映画劇場で見た「アラン」に出る景であつた。一人の老人がストーヴの火に
温まりながらイモを煮てゐたやうだつた(はつきり記憶してゐないが)。せまいそのキッ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
る事になると非常の寒さで、幸いに日が照って居るものですからまあそのうちにも幾分か
温まりを感ずるような事でありました。で雪の中をまた一里ばかり下りますと石で幅三尺....