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温める
「温める〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
温めるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
を注いだ。
「今はとても動かせないです。まず差当《さしあた》りは出来る限り、腹を
温める一方ですな。それでも痛みが強いようなら、戸沢さんにお願いして、注射でもして....
「芽生」より 著者:島崎藤村
お菊は悪い顔をして、遊び友達の方から帰って来た。そして、乳呑児の襁褓《むつき》を
温める為に置いてあった行火《あんか》に凭《もた》れて、窓の下のところで横に成った....
「新生」より 著者:島崎藤村
を書いてよこした。彼女が同期の卒業生は各自《めいめい》の家へ順番に寄合って旧交を
温めることにしているので、彼女の家でも最近に小さな集りをして、以前格別御世話に成....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
う。なぜかと言えば、こういう混合物の温度を一度だけ上昇させるためには、ただ蒸気を
温めるだけでなく、その上に水滴の蒸発に要する熱を供給しなければならないからである....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
成らなく成った。私は往来に繋いである馬の鳴声なぞを聞きながら、そこで凍えた身体を
温める。荒くれた人達の話や笑声に耳を傾ける。次第に心易くなってみれば、亭主が一ぜ....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
背によるのほかはないが、下呂まで行けばよい温泉がわく。旅するものはそこにからだを
温めることができる。下呂から先は歩行も困難でなく、萩原、小坂を経て、宮峠にかかる....
「温泉」より 著者:梶井基次郎
かへ一ぴき、手に一ぴき、針に一ぴき! そんな溪の水で冷え切った身体は岩間の温泉で
温める。馬にさえ「馬の温泉」というものがある。田植で泥塗れになった動物がピカピカ....
「宇宙戦隊」より 著者:海野十三
ている。この程度なら、空気をきれいに洗うことも、酸素をおぎなうことも、また室内を
温めることも、それほど大きな消費をしないで、艇は長時間にわたる航空にさしつかえな....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
、さあ帰ろうといって私の手を引くのだ。私はそれが何をしに来たものか、この酒と酒を
温める湯と、妙な臭気の立つ処の、しかも何か華かな心を起さしめるこの家が何屋で何を....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
は、あの三日間の死の常闇が余りにも深刻であったので、この地上の熱や光りではとても
温めることも出来ず、また彼の眼に沁み込んだ、その常闇を払い退けることが出来ないの....
「火の扉」より 著者:岸田国士
ちこがれているもの、たゞひとりの異性への思慕を、年上の同性の豊かな感受性のなかで
温めるよりほかなかつたのである。 「さ、みなさん、勝手におとりになつて……お茶う....
「地上」より 著者:島田清次郎
は涙をこらえようとしてその度に一言ずつ呟いて、また泣いた。 しかし涙は悲しみを
温める力をもっている。泣くだけ泣けばあとには雨上りのような、はれやかさが生まれ出....
「春」より 著者:岡本かの子
なだめて、京子を床に入れた。そして足がひどく冷えているので小さな湯たんぽを入れて
温めると、京子は何も言わずに眼をつむって居た。巡査の言うところでは、この真夜中|....
「秋深き」より 著者:織田作之助
んだと、うれしかった。湯槽に浸ると、びっくりするほど冷たかった。その温泉は鉱泉を
温める仕掛けになっているのだが、たぶん風呂番が火をいれるのをうっかりしているのか....
「電報」より 著者:織田作之助
驚いた婆さんは灸を据えたが、医者は診て、こりゃ盲腸だ、冷やさなくちゃいけないのに
温める奴があるかと、散々だった。幸い一命を取りとめ、手術もせずに全快したのは一枝....