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温帯
「温帯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
温帯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「地球盗難」より 著者:海野十三
するまでもあるまい。彼が長い間知りたいと思っていた怪人辻川博士の研究の秘密が、今
温帯を流れる氷山のように、解けはじめたのであった。 大隅学士は、大きい驚愕を、....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
浴であらねばならぬ。
不幸にして美的百姓氏は、海上ならぬ陸上に居る。熱帯ならぬ
温帯に居る。壮快限り無い甲板の驟雨浴に真似られぬが、自己流の驟雨浴なら出来ぬこと....
「春六題」より 著者:寺田寅彦
を考えてもそれはわかるだろう。 春という言葉が正当な意味をもつのは、地球上でも
温帯の一部に限られている。これもだれも知ってはいるが、リアライズしていないのは事....
「涼味数題」より 著者:寺田寅彦
候学的、地理学的によほど特殊な位地にあるからである。日本の本土はだいたいにおいて
温帯に位していて、そうして細長い島国の両側に大海とその海流を控え、陸上には脊梁山....
「日本人の自然観」より 著者:寺田寅彦
代のことであって、日清戦争以前の本来の日本人を生育して来た気候はだいたいにおいて
温帯のそれであった。そうしていわゆる
温帯の中での最も寒い地方から最も暖かい地方ま....
「地軸作戦」より 著者:海野十三
度半の傾斜をもち、太陽に対して一年を周期とする大きなかぶりを振っている。だから、
温帯では春夏秋冬がいい割合に訪れて生物を和げてくれるが、赤道附近では一年中が夏で....
「流線間諜」より 著者:海野十三
と、そこから南の地方が暖流のために、俄かに温くなるのだ。いままで寒帯だった地方が
温帯に化けるのだ。そこで俄然その宏大な地方を根拠地として某国の活溌な軍事行動が疾....
「夏」より 著者:寺田寅彦
それがない。後楽園や栗林公園はやはり春秋に見るべきであろう。九十五度の風が吹くと
温帯の風物は赤土色の憂愁に包まれてしまうのである。 喉元過ぎれば暑さを忘れると....
「怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
技師が発明した人造島で、われわれ技術員は、その耐熱試験をやっているのだ。氷の島が
温帯で、いや熱帯圏内に入っても、果して耐久力があるか否かを試験しているのだ。そこ....
「反抗」より 著者:豊島与志雄
黙っていた。 「井上は駄目さ。」と村田が云った。「北極も南極も嫌いで、なまぬるい
温帯が好きなんだから。熱帯ならなおいいかも知れないが、そんなのは一寸手が届かない....
「母の上京」より 著者:坂口安吾
は助けるといふ一方的な関係から血肉的な親密は生れてこない。夏川は淪落世界の意外に
温帯的な住み良さに驚いたが、一方では意外の伏兵に悲鳴をあげた。 娘はもと/\夏....
「南島譚」より 著者:中島敦
は浮気者だったので、(斯《こ》ういう時に「けれども」という接続詞を使いたがるのは
温帯人の論理に過ぎない)又、大の嫉妬家《やきもちや》でもあった。己の浮気に夫が当....
「南島譚」より 著者:中島敦
突然いとわしいものに感じられて来たのだろうか? それともミクロネシヤの古き神々が
温帯人の侵入を憤って、不意に此の老人の前に立ち塞がり、彼の目を視れども見えぬもの....
「環礁」より 著者:中島敦
いう街――其処《そこ》に私は一番永く滞在していた訳だが――には、熱帯でありながら
温帯の価値標準が巾をきかせている所から生ずる一種の混乱があるように思われた。最初....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
加わる。左右の両岸には連山群島に応接しつつ、峡間を一過す。午前七時、寒帯を脱して
温帯に入る。終日航進を継続し、いずれへも寄港せず。正午甲板にありて、試みに自ら太....