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温情
「温情〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
温情の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
けている。
自分は鏡の中のこの光景を、しばらく眺めている間に、毛利先生に対する
温情が意識の表面へ浮んで来た。一そ自分もあすこへ行って、先生と久闊《きゅうかつ》....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
格は、お預けになって以来、夙《つと》に彼と彼等との間を、故旧《こきゅう》のような
温情でつないでいたからである。
「早水氏《はやみうじ》が是非こちらへ参れと云われ....
「大川の水」より 著者:芥川竜之介
廚《くりや》の下を静かに光りながら流れるのも、その重々しい水の色に言うべからざる
温情を蔵していた。たとえ、両国橋、新大橋、永代橋《えいたいばし》と、河口に近づく....
「広津氏に答う」より 著者:有島武郎
、多くの中間的施設が無数に行なわれねばならぬ。いわゆる社会政策と称せられる施設、
温情主義、妥協主義の実施などはすべてそれである。これらの修正策が施された後に、社....
「大島が出来る話」より 著者:菊池寛
。 譲吉に対する夫人の贈与なり注意には、常に温い感情が、裏附けられて居た。その
温情を譲吉は、沁々《しみじみ》と感じて居るのであった。学資ばかりでなく、譲吉は、....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
。 大島主任に代って任命された人は佐藤と云う警部補であった。この人は諄々として
温情を以て説くと云う人だった。それにこの人は始めの経緯を知らないから、支倉に対し....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
の検事は穏かに云った。 杜はそれが手だと思わぬでもなかったけれど、適当に検事の
温情に心服したような態度を示しながら、出来るだけ詳しい話をした。しかしマッチの函....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
とき以来、ついに消え失せないありたけの魅力と、それに今ではまた、女性らしい優しい
温情に包まれたベアトリーチェの姿が、彼の情熱的な瞑想のうちによみがえってきた。彼....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
を着て、帯を前で結び、何やら絵で見覚えの天人らしい姿、そして何んともいえぬ威厳と
温情との兼ね具った、神々しい表情で凝乎と私を見つめて居られます。『一|体これは何....
「学生と教養」より 著者:倉田百三
するもの故これを忌避し、階級闘争をなさねばならぬ。それ以外の社会改良、労資協調的
温情はかえって、理想社会の到達を遅らすのみである。エンゲルスはマルクスと、半世を....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
いる――と云ったような云い方なのである。高貴で威厳があって断乎としているうちに、
温情があふれ漲っている。 「これは極東の教主様の、御意の通りと存じます」 老将....
「新しき世界の為めの新しき芸術」より 著者:大杉栄
等労働者には惨めさと醜くさとがあるばかりである」とは云っていない。「慈母のような
温情」を以て、此の「惨めさと醜くさとを人一倍深く感じ、そして人一倍深く憐れんでい....
「遁走」より 著者:葛西善蔵
てくるし、君は君でそんなだし、いったい君は僕のことをどんな風に考えているのかね?
温情家とか慈善家とでも思っているのかね? とんでもない!」原口の出て行った後で、....
「「日本民族」とは何ぞや」より 著者:喜田貞吉
としても、我らの祖先がかつて為したと同じ様に、決してこれを疎外虐待することなく、
温情を以てこれを抱容し、これを同化融合せしむべきものと信ずる。....
「空晴れて」より 著者:小川未明
いわれたのでした。 賢一は、老先生のお言葉をありがたく思いました。そして、この
温情深い先生の膝下から、遠く離れるのを、心のうちで、どんなにさびしく思ったかしれ....