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温柔
「温柔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
温柔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
ほど見知らぬ人の間に立ちまじって、貧乏の屈辱を存分になめ尽くした木村は、見る見る
温柔な葉子の言葉や表情に酔いしれるのだった。カリフォルニヤから来る水々しい葡萄《....
「ある心の風景」より 著者:梶井基次郎
女とこの女とを思い比べながら、耳は女のお喋《しゃべ》りに任せていた。 「あんたは
温柔《おとな》しいな」と女は言った。 女の肌は熱かった。新しいところへ触れて行....
「冬の日」より 著者:梶井基次郎
吐いた。そして彼らの方へ近づいて行った。女の子であばれているのもあった。男の子で
温柔《おとな》しくしているのもあった。穉《おさな》い線が石墨で路に描かれていた。....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
……その……誰だか。 十一 妙子の手は、矢車の花の色に際立って、
温柔な葉の中に、枝をちょいと持替えながら、 「こんなものを持っていますから、こち....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
るが、それはほとんど全部余り栄えた役割は勤めていない。ただ神の名で呼ばれている『
温柔な自然』がすべて全部を秩序立てまた支配しているのである。 相当に開けていた....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
るのだが、一緒にお出で」 貞と云う娘は既に度々云った通り当時僅に十六歳、それに
温柔な物をはっきり云い切る事の出来ない、見ようによっては愚図とも云える内気な娘だ....
「家」より 著者:島崎藤村
っていた。林の細君も笑いながら眺めた。 林の隠居は、こんな事をしたことの無い、
温柔しい老婦で、多勢の前へ出ると最早下を向いて了った。その側には、お種が折角の興....
「奇妙な遠眼鏡」より 著者:香倶土三鳥
ある所にアア、サア、リイという三人の兄弟がありました。 その中で三番目のリイは一番|
温柔しい児でしたが、ちいさい時に眼の病気をして、片っ方の眼がつぶっていましたので....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
った。渡辺祥益といって天満に住んでいた四条派末期の先生の作で、その画風は本格的で
温柔そのものであった。図は箕面の滝の夏景である。青い楓葉につつまれたる白布の滝が....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
。乳房に五寸釘を打たれるように、この御縁女はお驚きになったろうと存じます。優雅、
温柔でおいでなさる、心弱い女性は、さような狼藉にも、人中の身を恥じて、端なく声を....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
君にご挨拶もしないで。そうそう、さっきの自動車、あれで帰ったのかもしれないわ。」
温柔な良人の顔を、馬鹿にしたような笑顔で見やった。 先刻、自動車のエンジンや警....
「アーニイ・パイルの前に立ちて」より 著者:小林一三
によって、老朽を打倒してゆく勇ましい映画界の前途を祝福した。 彼は婦人のごとき
温柔の面貌に、いささか紅潮をたたえて、底知れぬ図太き胆大心小の立居振舞い、唯々と....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
すけれども、その性質は案外おとなしくしごく人の役に立つもので、日本の牛よりもなお
温柔であるというてもよい位。そのヤクがいかにチベット国を利益して居るかはいずれま....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
るに、米国中いたるところ、ただ冬夏二季の気候の厳酷なるもののみありて、春秋二季の
温柔なるものあらず。ゆえに、この間に生長せる人民は、その心またおのずから勇猛の気....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
はそれでおしまいだ。
先触種々の詩人等を紹介す。自然詩人、宮廷詩人、騎士詩人、
温柔詩人、感奮詩人あり。皆自ら薦むるに急にして押し合ひ、一人も朗読の機会を得ずし....