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温気
「温気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
温気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高野聖」より 著者:泉鏡花
歩行《ある》くのが少し難渋《なんじゅう》になったけれども、ここで倒《たお》れては
温気《うんき》で蒸殺《むしころ》されるばかりじゃと、我身で我身を激《はげ》まして....
「去年」より 著者:伊藤左千夫
ちた室にはいって、すでに幽明隔たりある人に会うた。胸部のあたりには、生の名残りの
温気がまだ消えないらしい。 平生赤みかかった艶のよい人であったが、全血液を失う....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
しい闘志とを潜ましている。 蒼空は培養硝子を上から冠せたように張り切ったまま、
温気を籠らせ、界隈一面の青蘆の洲はところどころ弱々しく戦いている。ほんの局部的な....
「河明り」より 著者:岡本かの子
の一劃は、蔵住いと奥倉庫の間の架け渡しを、温室仕立てにしてあるもので、水気の多い
温気が、身体を擡げるように籠って来るからでもあろう。 蘭科の花の匂いが、閉て切....
「地軸作戦」より 著者:海野十三
」 「それはデマだろう。宰相閣下はあのとおり丈夫な方で……いや、しかしこのような
温気には初めて遭われて、おまごつきかもしれない。おい、貴公は寒暖計を持っているか....
「雷」より 著者:海野十三
が建って七日目のこと、四郎がジリジリと待ったほどの甲斐があって、朝来からの猛烈な
温気が、水銀柱を見る見る三十四度にあげ、午後三時というのに、早くも漆を溶かしたよ....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
死ぬか、あるいは二、三年のうちに萎びてしまうであろう。 あるいは年のせいという
温気を感じ出して余生を柔順なる紳士と化けて続けるであろう。 それからピカソの絵....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
をことのほか発揚する。そして何といっても夜店の誘惑は夏である。 人間が不思議な
温気と体臭を扇子や団扇で撒き散らしながら、風鈴屋、氷屋、金魚屋、西瓜屋の前を流れ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
たが、可恐く身体を気にして、自分で病理学まで研究して、0,などと調合する、朝夕検
温気で度を料る、三度の食事も度量衡で食べるのが、秋の暮方、誰も居ない浪打際を、生....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
き、鰊、焼豆府……皆、ぷんとむれ臭い。(よした、よした、大餒えに餒えている。この
温気だと、命仕事だ。)(あなたや……私はもう我慢が出来ない、お酒はどう。)……ね....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
ていた。そこからはいってみると、バスと洗面所との間の廊下で、空家らしい気持の悪い
温気をたたえて、壁や天井が薄白く光っている。外人が建て、外人が住んでいたらしく、....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
様!」と物狂わしく、もう一度叫ぶと両手を延ばし、父の体を抱き上げた。脈もなければ
温気もない、全身すでに硬直している。父はこの世の人ではなかった。父は死んでいるの....
「豆腐買い」より 著者:岡本かの子
握ったり重量をみたりすることによって愛情が感じられるらしい。加奈子は裸の赤ん坊の
温気で重量器の磨き上げた真鍮の鎖が曇るストックホルムの優良児の奨励共進会を思い出....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
井戸で身体を洗って、蟋蟀の巣へ入ってさ、山出しにけんつくを喰って、不景気な。この
温気に何と、薄いものにしろ襦袢と合して三枚も襲ねている、茄った阿魔女を煽がせられ....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
から脈など見ますとほんの微かに搏って居るばかりで、腹の中に手を入れて見ると幾分か
温気がある。首筋を持って見ると非常に堅くなって居る。私も多少医書を見たことがある....