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温泉宿
「温泉宿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
温泉宿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河童」より 著者:芥川竜之介
みならずかえって深くなるのです。僕は一時間ばかり歩いた後《のち》、一度は上高地の
温泉宿へ引き返すことにしようかと思いました。けれども上高地へ引き返すにしても、と....
「白」より 著者:芥川竜之介
、一日余り歩いた後《のち》、やっと上高地へ着することが出来た。しかし犬は目の下に
温泉宿の屋根が見えると、一声《ひとこえ》嬉しそうに吠《ほ》えたきり、もう一度もと....
「手紙」より 著者:芥川竜之介
僕は今この
温泉宿に滞在しています。避暑する気もちもないではありません。しかしまだそのほかに....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
すような寒さが襲ってくる。小さな灌木の間を縫って行くと右手の遙か下の谷に新五色の
温泉宿が平面的に見えて、その前に建物の陰か水か、真白な雪の上に薄黒く見えている。....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
いでいました。日が経って医王山へ花を採りに、私の手を曳いて、楼に朱の欄干のある、
温泉宿を忍んで裏口から朝月夜に、田圃道へ出た時は、中形の浴衣に襦子の帯をしめて、....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
いう口を利くんですからね。――吃驚させられる事があるんです。――いつかも修善寺の
温泉宿で、あすこに廊下の橋がかりに川水を引入れた流の瀬があるでしょう。巌組にこし....
「若菜のうち」より 著者:泉鏡花
るき、彼岸もはやくすぎた、四月上旬の田畝路は、些とのぼせるほど暖い。 修善寺の
温泉宿、新井から、――着て出た羽織は脱ぎたいくらい。が脱ぐと、ステッキの片手の荷....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
一 初冬の夜更である。 片山津(加賀)の
温泉宿、半月館|弓野屋の二階――だけれど、広い階子段が途中で一段大きく蜿ってS形....
「古狢」より 著者:泉鏡花
でした――夜汽車はすいていますし、突伏してでもいれば、誰にも顔は見られませんの。
温泉宿でも、夜汽車でついて、すぐ、その夜半だったんですって。――どこでもいうこと....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
いい天気で、暖かかったけれども、北国の事だから、厚い外套にくるまって、そして
温泉宿を出た。 戸外の広場の一廓、総湯の前には、火の見の階子が、高く初冬の空を....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
た石の段々が蔦と一所に、真下の径へ、山懐へまとっています。その下の径というのが、
温泉宿入りの本街道だね。 お道さんが、帰りがけに、その地蔵様を拝みました。石の....
「湯女の魂」より 著者:泉鏡花
当に訳はないのでござりまする。」 「ふむ、三里半だな可し。そして何かい柏屋と云う
温泉宿は在るかね。」 「柏屋! ええもう小川で一等の旅籠屋、畳もこのごろ入換えて....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
所にして、乳で育てたもののように可愛くてならないので。 一体、ここは旧山の裾の
温泉宿の一廓であった、今も湯の谷という名が残っている。元治年間立山に山|崩があっ....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
めも解けかかれば、帯も緩くなる。きちんとしていてさえざっとこの趣。……遊山旅籠、
温泉宿などで寝衣、浴衣に、扱帯、伊達巻一つの時の様子は、ほぼ……お互に、しなくっ....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
人声が聞こえません。足音一つ響かないくらい、それは静なものでした。それで、これが
温泉宿……いや鉱泉宿です。一時世の中がラジウムばやりだった頃、憑ものがしたように....