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「温石〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

温石の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
来た。急に袷《あわせ》が欲しいほどに涼しくなって、疝気《せんき》もちの用人はもう温石《おんじゃく》を買いにやったなどといって、蔭で若侍たちに笑われていた。 雨....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
で、彼は出来るだけ我慢して起きていた。それがどうしても堪えられなくなって、昼から温石《おんじゃく》などで凌《しの》いでいたが、日が暮れると夜の寒さが腹に沁み透っ....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
なかった。極度に老衰した吉左衛門の容体、中風患者のこととて冷水で頭部を冷やしたり温石で足部を温めたりするほかに思わしい薬もないという清助の話を聞くだけにとどめて....
丹下左膳」より 著者:林不忘
で」 「しかるにお町坊は、家を助けるという口実のもとに、その伊勢屋の隠居のもとへ温石《おんじゃく》がわりの奉公に出ようというのだな」 「へえ、あんなに言いかわし....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
銭の安絵葉書商うだけでは、腹も懐も温くはならず、さればその懐に忍ばせたもの、懐炉温石のたぐいにあらずして十二枚一組の極彩色、中なるは手易くあけて見せずに、客を択....
敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
ア/\決して心配をなさるな」 と云って山之助に力を附けます。また時々塩を貰って温石を当てる、それは実に親切なもので。すると俗に申す通り一に看病二に薬で、お繼の....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
、廓から空腹だ、とは思うまい。――内証だが、ここで糸七は実は焼芋を主張した。粮と温石と凍餓共に救う、万全の策だったのである、けれども、いやしくも文学者たるべきも....
余録(一九二四年より)」より 著者:宮本百合子
までかなり遠い。冬だと、彼はその道中に、餅の大きなの一つ、小さいのを二つ焼いて、温石のように体につけて持って行った。京の風に、焼いた餅はいくばくもなくさめる。ぬ....
魔像」より 著者:林不忘
ぐさせて、両手を袂へ落としている。これは正月のことで寒いから、老人だけに袖の中に温石《おんじゃく》を持って、手を温めているのである。 ちょっと立ち停《ど》まっ....
悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
お腹が痛みますなら、冷えると余計悪くなりますので、河原の石でも焼いて、間に合せの温石でもお当てなさいますか」と親切は面に現われた。 「いや、それ程でも無い。少し....