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温良
「温良〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
温良の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
色とをもって、君の為に早瀬を擒にしようとしたのは事実である。また我自から、道子が
温良優順の質に乗じて、謀って情を迎えたのも事実である。けれども、そのいずれの操を....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
な趣味のありようがない。秋の声は知らないでただ春の音ばかり知ってる両総の人の粋は
温良の二字によって説明される。 省作はその
温良な青年である。どうしたって省作を....
「ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
だした其の男は、なんと丘田医師だったのである。丘田医師には違いないが、日頃の彼の
温良なる風貌はなく、髪は逆立ち、顔面は蒼白となり、眼は血走り、ヌッとつき出した細....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
兄なる者が、理不尽にもそれを横取りした。――ここに悲劇の第一歩がある。 乙女は
温良な質だったので、すぐ運命に服従した。若侍の方も穏和な質で、且つ宗教的であり文....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
云う。之は後に能勢氏が親しい友に語った所だ。 静子は何故に彼から背き去ったか。
温良貞淑なりし彼女を誘惑し去ったものは何ぞ。筆者はその後の彼女の消息は杳として知....
「愚人の毒」より 著者:小酒井不木
、同じ腹から出た総領のように夫妻から愛されて成長しました。ことに健吉くんは性質が
温良でしたので、主人奥田氏の気に入って氏が逝去の際も、三人の子がみな若かったから....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
皺は、人々に嫌悪の情を起こさせるというので、それもみな塗りつぶされて、そのあとは
温良な笑いと快活さとを巧妙な彩筆をもって描くことにした。 ラザルスは例の無関心....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
れど、……」 路子は、かわいい苦笑をつづけた後、 「兄は、とてもいい兄ですの。
温良で、物分りがよくって、品行方正で……自分の肉親の兄をほめるのはおかしいけれど....
「血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
事であるから、必ずしも冷いというものではないかも知れないのだ。 夫人は飽くまで
温良貞淑だった。少しも博士の意に逆おうとせず、自分を出そうとせず、控え目にして、....
「鴛鴦鏡」より 著者:岡本綺堂
のだ。」 彼はおびえたように立停まって、無言でわたしに挨拶した。冬坡は平生から
温良の青年である。殊にわたしの俳句友達である。彼に対して職権を示そうなどとは勿論....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
な性格――これが私たち同胞が親から享け継いだ遺伝である。 父は正直な、謙遜な、
温良な玉のような人間であった。人と争うこと、曲ったことの出来ない、羊のような人間....
「瘤」より 著者:犬田卯
利組合費、これまた前年度の倍もかかるようになってしまう。少々は喰われたって……と
温良ぶった村民も、内心では次第に悲鳴をあげ出した。 「名村長ちうから村がよくなる....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
れて了った。 「この犬は良い犬ですね。」 「無闇に吠えて困るんです。」 「でも、
温良いわ。妾、此犬が大好よ。」 「トム、トム……。」と、市郎は又呼んだ。犬は尾を....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
ルが持った一つの望みは、どんな憎悪をも示すまいということだった。彼はその本能的な
温良性を思うがままに発揮しながら、エセックス夫人に厚意を示すべき機会がきたときも....
「早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
う五十に間もない年頃で、むしろ背の低い、まる/\と肥えた、極く鷹揚な、見た眼にも
温良そうな男であるが……変ったのはかれや私の頭髪ばかりではない、それの店の内部も....