»
渾
「渾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
渾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「父」より 著者:芥川竜之介
んたん》は、いやにやかましいからな。」「仁丹」と云うのは、能勢が馬場教諭につけた
渾名《あだな》である。――こんな話をしている中に、停車場前へ来た。
乗った時と....
「第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
来上っている。君はまだ高等学校にいた時、僕に「さまよえる猶太《ユダヤ》人」と云う
渾名《あだな》をつけたのを覚えているであろう。実際僕は君のいった通り、「さまよえ....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ますのは、大殿様とは御違いになって、天《あめ》が下《した》の色ごのみなどと云う御
渾名《おんあだな》こそ、御受けになりましたが、誠に御無事な御生涯で、そのほかには....
「葱」より 著者:芥川竜之介
う理由から、このカッフェの定連《じょうれん》の間には、夙《つと》に通俗小説と云う
渾名《あだな》が出来ているらしい。もっとも
渾名《あだな》にはまだいろいろある。簪....
「仙人」より 著者:芥川竜之介
ました。が番頭の話を聞くと、直ぐに横から口を出したのは、古狐《ふるぎつね》と云う
渾名《あだな》のある、狡猾《こうかつ》な医者の女房です。
「それはうちへおよこし....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
すく出来ようとは思われなかった。が、彼はそれを両手に抱くと、片膝砂へついたまま、
渾身《こんしん》の力を揮《ふる》い起して、ともかくも岩の根を埋《うず》めた砂の中....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
《おとなげ》ない批評を下した。
舞台では立ち廻りが始まっていた。ピストル強盗は
渾名《あだな》通り、ちゃんとピストルを用意していた。二発、三発、――ピストルは続....
「秋山図」より 著者:芥川竜之介
《かれい》な画のようですが、布置《ふち》も雄大を尽していれば、筆墨《ひつぼく》も
渾厚《こんこう》を極《きわ》めている、――いわば爛然《らんぜん》とした色彩の中《....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
」などと呼ばれていたのも、完《まった》くこの忠諫《ちゅうかん》を進める所から来た
渾名《あだな》である。
林右衛門は、修理の逆上が眼に見えて、進み出して以来、夜....
「或る女」より 著者:有島武郎
のを快いと思っていた。汽車は目まぐるしいほどの快速力で走っていた。葉子の心はただ
渾沌《こんとん》と暗く固まった物のまわりを飽きる事もなく幾度も幾度も左から右に、....
「或る女」より 著者:有島武郎
欲念、そしてそれができそうな期待が葉子を未練にした。それからというもの葉子は忘我
渾沌《ぼうがこんとん》の歓喜に浸るためには、すべてを犠牲としても惜しまない心にな....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
る漁夫たちも、今は東西の定めようがない。東西南北は一つの鉢の中ですりまぜたように
渾沌としてしまった。 薄い暗黒。天からともなく地からともなくわき起こる大叫喚。....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
た。この女中はのちに「源さん」という大工のお上さんになったために「源てつ」という
渾名を貰ったものである。 なんでも一月か二月のある夜、(僕は数え年の五つだった....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
嘆に値するものがあった。彼は如何なる問題でも、之を吸収消化せずという事なく、常に
渾身の努力を挙げて、その研究にかかった。就中彼が畢生の心血を濺いだのは心霊問題で....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
あるが、メリメよりも芸術家ではないと云う。云う心はメリメよりも、一つ一つの作品に
渾成の趣を与えなかった、或は与える才能に乏しかった、と云う事実を指したのであろう....