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渾一
「渾一〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
渾一の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
裡である」と聞いたとき慄然として戦いたのである。しかしまた本体界の意志を無差別、
渾一体のものとして認めた彼はなんとなく私の心の動揺を静めるようにも思われた。かく....
「昭和の十四年間」より 著者:宮本百合子
せなければなるまい。自身の創作のモティーヴを見きわめ、描こうとする対象と自身との
渾一の状態を求め、話の筋よりは作家の生命が独特の色、体温、運動をもって小説の世界....
「偶感一語」より 著者:宮本百合子
下の大切な、恐らく一生を通じての行なのです。 あらゆるものの本体を見得る叡智と
渾一に成った愛こそ願わしいものです。 自分は、愛の深化ということは、最も箇性的....
「C先生への手紙」より 著者:宮本百合子
のもの」を見出しとうございます。けれども、C先生、私がよく申上た通り私は自分で、
渾一の如何に偉大であり、又如何に至難な事であるかを知って居ります。知って居る事は....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
説明をしたい念願を持っていたが、実際に当ると好い説明の文を作れないのは、この歌は
渾一体の境界にあってこまごましい剖析をゆるさないからであろうか。 此歌の第三句....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
や何か。いつか書いたようにあれは合作なのだが、その合作ぶりがね、妙な共通の感覚的
渾一においてされていて、そういう精神状態でされていて、精神の歓喜像としての作品で....
「二つの途」より 著者:豊島与志雄
円っこい、と信子は云った。然し百合の根は多くの片鱗が集って円いのであって、全体が
渾一した球形の仙人掌とは比較にならない、と木下は云った。でも刺《とげ》があるのは....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
の瞬間とは唯一の太陽の光線にすぎなくなるところの、初めも終わりもない無際限な生の
渾一《こんいつ》を話してきかした。しかし彼はかかる抽象的な形式でそれを言ってきか....
「地上」より 著者:島田清次郎
溢する。音楽はやがて急湍のように迫り、二つの音調は急流のように争いつつ、いつしか
渾一に融合するうちに、いつともしれず大鼓の海鳴りの音が新しい根拠をもって轟いて来....
「恐怖の季節」より 著者:三好十郎
に、一貫して燃えさかり、そして燃えさかる事によって、彼等の「客観」を芸術としての
渾一にまでキタエあげているものは、彼等の白熱した主観、つまり自我であり、終始一貫....
「日本文化の特殊性」より 著者:戸坂潤
着とがあるのだ。而もこの対立撞着が極めて組織的な構造を有っているのである。文化の
渾一や統一がないということは事実だ。併しそれをすぐ様混乱だとするのは、その内に身....