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「渾然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

渾然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
無名作家の日記」より 著者:菊池寛
ばかりではない。その次に載っている桑田の小説「闖入者《ちんにゅうしゃ》」だって、渾然《こんぜん》としてまとまった小品だ。あいつのきびきびした筆致を見た時、俺は桑....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
信仰の所産であった。 同時に意志の所産でもあった。 自己完成と衆生済度との、渾然融和した象徴でもあった。 とまれそこに厳然と千体仏は刻まれていた。そうして....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
「つぶて」で、一個一個としては、咸陽宮の瓦一枚にすら如かないものであるが、これが渾然として、富士山という創造的合成を築き上げたとき、草も、木も、人も、室も、この....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
のであるとは思えない。奇怪ながらも渋味ゆたかに掬すべきものがあり、その芸とともに渾然として心の隅から好感が湧き上がってくる。 あまり若い好男子を高座に見ると、....
桃のある風景」より 著者:岡本かの子
に勧める食餌の種類で判った。私もそれを好まぬことはなかった。しかし、一度にもっと渾然として而も純粋で爽かな充足を欲した。「もっと、とっぷりと浸かるような飲ものは....
万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
極く単純なものだが、この単純化がやがて古歌の好いところで、一首の綜合がそのために渾然とするのである。雨の降るのをナガラフと云っているのなども、他にも用例があるが....
貞操問答」より 著者:菊池寛
ち家中に、溢れ出した。 美沢の家でも、よくレコードで聞いた馴染の曲だし、しかも渾然たる絃楽の、その中の一挺のヴァイオリンは、美沢の手で奏でられていると思うと、....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の壁面を見上げて思わず声を窒めた。それ迄バラバラに分離していた多くの謎が、そこで渾然と一つの形に纏まり上っている。梵字形の創傷も、流血の消失も、浄善の咽喉に印さ....
中支遊記」より 著者:上村松園
って日本の娘の上に考えられる洋化とも違う。そこにはやはり昔からの支那風にこなされ渾然としたものを醸し出しているのであろう。楚々とした感じは一点の難もないまでによ....
二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
か?……どっちだかそれは解らんが、とにかく相互の熱情熱愛に人畜の差別を撥無して、渾然として一如となる、」とあるはこの瞬間の心持をいったもんだ。 この犬が或る日....
炭焼長者譚」より 著者:喜田貞吉
が、これを民族上より観察すれば、我が国において、天津神の系統と国津神の系統とが、渾然融和して区別なきに至った道筋を示すものとして、尊重せねばならぬものではあるまいか。....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
のだよ。サンボリズムとリアリズムとは楯の両面だからね。それも主客円融ということは渾然として境涯的のものであって、写生は畢寛写生に過ぎないからね。実感に即する抒情....
「特殊部落研究号」発行の辞」より 著者:喜田貞吉
、改善せられたる特殊部落というに止まり、そこに或る種の隔離はなお永く保存せられ、渾然たる同化融合の実は、これを久遠の後に期すべきにあらずやと懸念せられ候う事にこ....
融和促進」より 著者:喜田貞吉
すべての差別を撤廃せしめて、永久に特殊部落なるものをこの世の中から消してしまい、渾然融和せる同一の帝国臣民たらしめんとするものでなければなりません。そしてそれは....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
得る政治力。 3 全人類を生活せしむるに足る物資の充足。 心と物は「人」に於て渾然一体である。その正しき調和を無視して一方に偏重し、いわゆる唯心とか唯物とかい....