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渾身
「渾身〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
渾身の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
すく出来ようとは思われなかった。が、彼はそれを両手に抱くと、片膝砂へついたまま、
渾身《こんしん》の力を揮《ふる》い起して、ともかくも岩の根を埋《うず》めた砂の中....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
強勇を生命とする快男子は、須《すべか》らく太陽に向かって突貫し、その力ある光勢を
渾身《こんしん》に吸込む位の元気が無ければ駄目じゃ。 午後三時半、上野に着く。....
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
。しかし、そこには依然として、この地峡さながらのごとく音がなかった。彼女はもう、
渾身《こんしん》の注意に疲れきってしまい、その微かな音のない声にも、妙に涸《か》....
「地球盗難」より 著者:海野十三
彼は、更に第二段の工作にうつった。まず何とかして手を外したい。身体をソッと曲げて
渾身の力を籠めよう……としたときに、彼は室内に思いがけない新しい人の気配を感じて....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
いつく気力もなく、 「兄弟分でもなんでもない、全く一つのものだ」 と低い声音に
渾身の力を籠めて言った。これだけ真面目に敬蔵が娘に云うことはめったにない。窮して....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
中で蘇生したのです。しかし、声音の自由を失っているので救いを求めることも出来ず、
渾身の力を揮って棺の蓋をわずかに隙しまでしたのでしたが、そのまま彼は力尽きて、再....
「聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
が、姉さんの真実の心は他にあったのです。足でだんだんと綱の端を踏みながら、片手に
渾身の力と体重をかけて徐々に綱を引き、鐘を傾けました。無論小鐘は水平になったでし....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
ると、後を向いてトットと駆けだした。大地に躓いて倒れるかもしれないと思ったほど、
渾身の力を籠めてウウンと引張った。 ドーンと鈍いそして力づよい手応えが両腕を痺....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
嘆に値するものがあった。彼は如何なる問題でも、之を吸収消化せずという事なく、常に
渾身の努力を挙げて、その研究にかかった。就中彼が畢生の心血を濺いだのは心霊問題で....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
両手に絡めて置き、予め鋭利に研ぎ澄まして置いた提灯の鉄芯を顱頂部に当てて、それを
渾身の力で押し込んだのだ。しかし胎龍は、焔々たる地獄の業火と菩薩の広大無辺な法力....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
思うと、両手に抱えたフローラの体に、次第に重みが加わっていく。 彼女は、すでに
渾身の精力を使い尽くし、静かに、いまや氷原の真っただ中で、眠りゆこうとするのだ。....
「四十年前」より 著者:内田魯庵
われた文相森有礼であった。森は早くから外国に留学した薩人で、長の青木周蔵と列んで
渾身に外国文化の浸潤った明治の初期の大ハイカラであった。殊に森は留学時代に日本語....
「越年」より 著者:岡本かの子
その上から更に外套を握って足を踏張った。堂島は周章てて顔を元に戻したが、女二人の
渾身の力で喰い止められてそれのまま遁れることは出来なかった。五人の一列は堂島を底....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
で立つ父母の国 勝たずば」――――微かに唄っているようだ……。 多可子の胸へ
渾身の熱い血がこみ上げて来た。多可子は政枝の亡骸に取りすがって涙と共に叫んだ。 ....
「父の出郷」より 著者:葛西善蔵
しら?……そうも思ったが、私は何となく不安になってきた。「老師さん!……」と私は
渾身の力を下っ腹に入れて、叫んだ。……老師さん!……老師さん!……老師さん!……....