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湃
「湃〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
湃の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
めない。かえって目まぐるしい飛躍のうちに、あらゆるものを溺《おぼ》らせながら、澎
湃《ほうはい》として彼を襲って来る。彼は遂に全くその虜《とりこ》になった。そうし....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
が起るのを感じた。そうしてその光の中に、大勢《おおぜい》の男女の歓喜する声が、澎
湃《ほうはい》と天に昇《のぼ》るのを聞いた。
「大日※貴《おおひるめむち》! 大....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
灌漑水が不足して飢饉がおこる。舟行が駄目になるから交通は杜絶する。そうなって、澎
湃とおこってくる反乱の勢いを、ミスルの財閥や英軍がどうふせぐだろうか」 折から....
「鳥羽伏見の戦」より 著者:菊池寛
ったならば、華々しき戦争が出来たのではないかと思う。 しかし、当時勤王思想が澎
湃として起って居り、幕府縁故の諸藩とも嚮背に迷って居り、幕軍自身が、新選組や会津....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
新興芸術、プロレタリヤ文学――そういった新らしい芸術運動の二つの異った潮流が、澎
湃として文壇に漲って来たなかに、庸三は満身に創痍を受けながら、何かひそかにむずむ....
「惜別」より 著者:太宰治
も看破せられ、支那の独立性を保持するには打清興漢の大革命こそ喫緊なれとの思想が澎
湃として起り、さきに海外に亡命していた孫文は、すでにその政治綱領「三民主義」を完....
「北氷洋の氷の割れる音」より 著者:寺田寅彦
ということである。これが実現した暁には北西の空からあらゆる波長の電磁波の怒濤が澎
湃としてわが国土に襲来するであろう。 思想などというものは物質的には夢のような....
「天馬」より 著者:金史良
るばかりか、勢威のある大村にかばわれることだったのだ。だが朝鮮の文人達の間にも澎
湃《ほうはい》として時局認識運動が高まり、鮮かに水煙りを飛ばして彼等が自分を追い....
「ああ玉杯に花うけて」より 著者:佐藤紅緑
処女は脱兎になった。いままで湲々と流れた小河の水が一瀉して海にいるやいなや怒濤澎
湃として岩を砕き石をひるがえした。光一の舌頭は火のごとく熱した。 「野淵君は漫然....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
に「カナリヤの労働」――きな臭い煙草――の名の香が絡み、散乱する長調の音譜と、澎
湃たるこの雑色の動揺と、灼輝する通行人の顔と動物的な興奮。それらの陰影がくっきり....
「かの女の朝」より 著者:岡本かの子
の一端何町四方を邸内に採っている。その邸内の何町四方は一ぱいの樹海だ。緑の波が澎
湃として風にどよめき、太陽に輝やき立っているのである。ベルリンでは市民衛生の為め....
「秘伝の名訳」より 著者:岸田国士
である。 十八世紀は、周知の如く、ヨーロツパに於ける社会革命の前夜であつて、澎
湃たる自由の精神は言わば肉体化されて、一種他の時代に見られない、機略縦横、闊達無....
「明治哲学界の回顧」より 著者:井上哲次郎
ツァイトで、英、米、仏の思想が優勢を占めておった。単に優勢というくらいでなく、澎
湃として洪水のごとく侵入してきた。すなわち英、米の自由独立の思想、フランスの自由....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
知己はその都度々々に胸を躍らした。 五月十日、船は印度洋に入った。世界に著き澎
湃たる怒濤が死ぬに死なれない多感の詩人の熱悶苦吟に和して悲壮なる死のマーチを奏す....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
間、またもや嘆声を発せずにはいられなかったのです。見ゆる限り海波が渺茫として、澎
湃として、奔馬のごとくに盛り上がって、白波が砕けて奔騰し、も一度飛び散って、ざざ....