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湛
「湛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
湛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「尾生の信」より 著者:芥川竜之介
生はとうとう立ちすくんだ。
川の水はもう沓を濡しながら、鋼鉄よりも冷やかな光を
湛《たた》えて、漫々と橋の下に広がっている。すると、膝《ひざ》も、腹も、胸も、恐....
「黒衣聖母」より 著者:芥川竜之介
まま、やはりその美しい象牙《ぞうげ》の顔に、ある悪意を帯びた嘲笑を、永久に冷然と
湛《たた》えている。――
（大正九年四月）....
「尼提」より 著者:芥川竜之介
いたまま、こう如来に歎願した。しかし如来は不相変《あいかわらず》威厳のある微笑を
湛《たた》えながら、静かに彼の顔を見下《みおろ》している。
「尼提《にだい》よ、....
「女体」より 著者:芥川竜之介
さで、山腹のなだらかなくぼみでさえ、丁度雪にさす月の光のような、かすかに青い影を
湛《たた》えているだけである。まして光をうけている部分は、融けるような鼈甲色《べ....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
に後ろの牛小屋へ行けば、ぜすす様の産湯《うぶゆ》のために、飼桶《かいおけ》に水が
湛《たた》えられている。役人は互に頷《うなず》き合いながら、孫七夫婦に縄《なわ》....
「路上」より 著者:芥川竜之介
しかもその二重瞼の下にある眼は、ほとんど憂鬱とも形容したい、潤《うる》んだ光さえ
湛《たた》えていた。さっき会場へはいろうとする間際に、偶然｜後《うしろ》へ振り返....
「竜」より 著者:芥川竜之介
女柳《うねめやなぎ》の枝垂《しだ》れたあたり、建札のある堤《つつみ》の下に漫々と
湛えた夜明け前の水が、そこだけほんのりとうす明《あかる》く見えたそうでございます....
「白」より 著者:芥川竜之介
窓《かざりまど》の硝子《ガラス》を恐れました。いや、カフェのテエブルに黒ビイルを
湛《たた》えているコップさえ、――けれどもそれが何になりましょう？ あの自動車を....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
《あめ》の安河《やすかわ》の水の光も、いつか何となく人懐《ひとなつか》しい暖みを
湛《たた》えているようであった。ましてその河下《かわしも》にある部落には、もう燕....
「少年」より 著者:芥川竜之介
の時である。彼は鶴《つる》と云う女中と一しょに大溝の往来へ通りかかった。黒ぐろと
湛《たた》えた大溝《おおどぶ》の向うは後《のち》に両国《りょうごく》の停車場《て....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
熱心に、じっと舞台を眺めていた。しかしその顔は以前よりも、遥かに柔《やさ》しみを
湛《たた》えていた。
そこへ舞台には一方から、署長とその部下とが駈《か》けつけ....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
》の小皿と一しょに、新蔵の膳に載って居るコップがもう泡の消えた黒麦酒をなみなみと
湛えたまま、口もつけずに置いてあります。そこで泰さんが水の垂れる麦酒罎《ビールび....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
日頃のように青く澄んだ御眼《おんめ》」は、悲しみも悦びも超越した、不思議な表情を
湛えている。――これは、「ナザレの木匠《もくしょう》の子」の教を信じない、ヨセフ....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
から来たものだった。彼は私が大いに期待をかけていた親友だった。やさしい微笑を面に
湛え、私のほうに手をさし伸べている彼の姿があまりにまざまざと眼の前にあらわれたの....
「浅沼稲次郎の三つの代表的演説」より 著者:浅沼稲次郎
なはだ残念しごくといわなければならないと思うのであります。自民党のなかにも、石橋
湛山氏、松村謙三氏のように常識をもち、よい見通しをもった方々がおるのであります。....