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湯宿
「湯宿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
湯宿の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「雛妓」より 著者:岡本かの子
茎や葉が一層くろぐろと水面に伏さっているのが窺かれる。その起伏のさまは、伊香保の
湯宿の高い裏欄干から上つ毛野、下つ毛野に蟠る連山の頂上を眺め渡すようだった。その....
「爛」より 著者:徳田秋声
手繰りつけるように家へ着いたのであった。いつも、じーんと耳の底が鳴るくらい淋しい
湯宿の部屋にいつけた頭脳は、入って来た日暮れ方の町の雑沓と雑音に、ぐらぐらするよ....
「煩悩秘文書」より 著者:林不忘
あと繁《しげ》く、今は、阿弥陀沢村の一戸にまあたらしい白木の看板が掲がって――御
湯宿、藤屋。 内湯ではないから、客は、藤屋から山下駄をはいて、小みちづたいに、....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
て、再び、鈴見の橋、鳴子の渡、畷の夕立、黒婆の生豆腐、白姥の焼茄子、牛車の天女、
湯宿の月、山路の利鎌、賊の住家、戸室口の別を繰返して語りつつ、やがて一巡した時、....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
ある。五株、六株、七株、すらすらと立ち長く靡いて、しっとりと、見附を繞って向合う
湯宿が、皆この葉越に窺われる。どれも赤い柱、白い壁が、十五|間間口、十間間口、八....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
鼻のさきには、化粧煉瓦で、露台と言うのが建っている。別館、あるいは新築と称して、
湯宿一軒に西洋づくりの一部は、なくてはならないようにしている盛場でありながら。 ....
「山の湯雑記」より 著者:折口信夫
は信夫の湯に力を入れて評判を立てたようだから、定めてあの山の上の数軒しかない古い
湯宿が、立てこんだことだろう。作事小屋・物置部屋などに、頼んで泊めて貰った客など....
「安吾武者修業」より 著者:坂口安吾
の門弟が伊香保をさして馳せ参じ、総勢七百余名になった。 伊香保には大屋と称する
湯宿が十二軒あったが、その一軒の木暮武太夫旅館に千葉一党が宿泊し、他の十一軒は念....
「猿ヶ京片耳伝説」より 著者:国枝史郎
た方へ向いたので、お蘭もそっちへ顔を向けた。 猿ヶ京にたった一軒だけ立っている
湯宿、この桔梗屋は、百年以上を経た旧家だといわれていたが、それはこの店の間の板敷....
「山の湯の旅」より 著者:上村松園
うな感じを湧かしました。 天狗の湯の宿は、山のほとんど巓に近いところで、やはり
湯宿があります。そこへ着くと、とにかく寒いので私は早速薄綿のはいったドテラを借り....
「茶粥の記」より 著者:矢田津世子
のおひたしに、大きな塗椀の中にはぷつぷつと泡立っているとろろである。山|間のこの
湯宿には過ぎた料理だった。箸を動かしながら清子はまたしても良人のことを思った。今....
「小説 円朝 あとがき」より 著者:正岡容
十一月と徒《いたず》らな月日が立っていってしまった。十一月末日、修善寺へ。そこの
湯宿の一室にして、年少の日の圓朝が切磋琢磨の修業の上に自分自身を見出したことによ....
「長崎の鐘」より 著者:永井隆
に効くので有名な鉱泉が湧いている。木場六枚板の湯と称せられ、大正のころには小さい
湯宿もあった。私たちは、このおびただしい熱傷患者の収容処置は鉱泉療法にしくものは....
「黒田如水」より 著者:吉川英治
を駆け抜けることは難しい。……一体どこを通るが、最もご無事か?」 この問題は、
湯宿を立つ前夜まで、太兵衛や善助が頭をなやましていた事だった。 ところが、ここ....