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湯帷子
「湯帷子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
湯帷子の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「母」より 著者:芥川竜之介
やや血色の好《い》い敏子《としこ》である。髪にも、夏帯にも、中形《ちゅうがた》の
湯帷子《ゆかた》にも、やはり明暗の斑点を浴びた、白粉《おしろい》をつけない敏子で....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
「さあ、仕事でもするかな。」
Mは長ながと寝ころんだまま、糊《のり》の強い宿の
湯帷子《ゆかた》の袖に近眼鏡《きんがんきょう》の玉を拭っていた。仕事と言うのは僕....
「二人の友」より 著者:森鴎外
ね」と云って声を掛けると、君は内から障子を開けた。なる程フランネルのシャツの上に
湯帷子《ゆかた》を著ている。細かい格子に日を遮《さえぎ》られた、薄暗い窓の下《も....
「杯」より 著者:森鴎外
群れて飛ぶように見えて来る。 これもお揃《そろい》の、藍色《あいいろ》の勝った
湯帷子《ゆかた》の袖《そで》が翻《ひるがえ》る。足に穿《は》いているのも、お揃の....
「余興」より 著者:森鴎外
ろげて扇をばたばた使っている。 玄関で二三人の客と落ち合った。白のジャケツやら
湯帷子の上に絽の羽織やら、いずれも略服で、それが皆|識らぬ顔である。下足札を受け....
「青年」より 著者:森鴎外
巡査が何か掛け合った。話は直ぐに纏まったらしい。中から頭を角刈にして、布子の下に
湯帷子を重ねて着た男が出て来て、純一を迎え入れた。巡査は角燈を光らせて帰って行っ....
「あそび」より 著者:森鴎外
から細かい雨が降っている。暑くはないが、じめじめとした空気が顔に当る。 女中は
湯帷子に襷を肉に食い入るように掛けて、戸を一枚一枚戸袋に繰り入れている。額には汗....
「鶏」より 著者:森鴎外
を廃せないのである。 石田は襦袢袴下を着替えて又夏衣袴を着た。常の日は、寝巻に
湯帷子を着るまで、このままでいる。それを客が来て見て、「野木さんの流義か」と云う....
「雁」より 著者:森鴎外
度なんぞは、中入が済んだ頃、その時代にまだ珍らしかった、パナマ帽を目深に被った、
湯帷子掛の男に連れられて、背後の二階へ来て、手摩に攫まって据わりしなに、下の客を....
「神楽坂」より 著者:矢田津世子
「お内儀さんがねえ、まあ、そんなにお悪いんですか」 隣りの箪笥から糊のついた
湯帷子を出してきたおっ母さんはいつまでも裸でいる爺さんの背中へそれを着せかけた。....
「痀女抄録」より 著者:矢田津世子
つく来る。師匠は茶を啜り了えると立って、勝手元から水の張ったバケツを下げてきて、
湯帷子の裾をからげて濡れ縁のところから庭へ水を打ちはじめた。 庭というても四坪....