湯殿[語句情報] »
湯殿
「湯殿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
湯殿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
、
「御覧なさい。」と、三人の客を麾《さしまね》いた。
はいって見ると、そこは
湯殿のように床《ゆか》を叩《たた》きにした部屋だった。その部屋のまん中には、壺《....
「或る女」より 著者:有島武郎
醜さを恐れてそのまま家に取って返した。そして妹たちだけがはいったままになっている
湯殿《ゆどの》に忍んで行って、さめかけた風呂《ふろ》につかった。妹たちはとうに寝....
「春昼」より 著者:泉鏡花
中へばたりと落して、鎌首を、あの羽目板へ入れたろうじゃないか。羽目の中は、見た処
湯殿らしい。それとも台所かも知れないが、何しろ、内にゃ少い女たちの声がするから、....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
はあったが、黒しと怪む雲はなかった。ただ、町の静さ。板の間の乾びた、人なき、広い
湯殿のようで、暖い霞の輝いて淀んで、漾い且つ漲る中に、蚊を思うと、その形、むらむ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、夢から覚めたしるしぞ、と心嬉しく、明室の前を急いで越すと、次なる小室の三畳は、
湯殿に近い化粧部屋。これは障子が明いていた。 中から風も吹くようなり、傍正面の....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
田舎は厭だと駄々を捏ねるのを、守膳が老功で宥め賺し、道中土を蹈まさず、動殿のお
湯殿子調姫という扱いで、中仙道は近道だが、船でも陸でも親不知を越さねばならぬから....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
し、入口が別に附いて、ちょっと式台もあって、座敷が二間、この頃に普請をしたという
湯殿も新しいし、畳も入替えたのがある。 直ぐに極めて、そこへ世話をして、東京か....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
ずるり腸が枝にかかって、主は血みどれ、どしんと落ちた。 この光景に、驚いたか、
湯殿口に立った髯面の紳士が、絽羽織の裾を煽って、庭を切って遁げるのに心着いて、屋....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
のあとを踏んだからで、スリッパを脱ぎ放しに釘でつけて、身ぶるいをして衝と抜いた。
湯殿から蒸しかかる暖い霧も、そこで、さっと肩に消えて、池の欄干を伝う、緋鯉の鰭の....
「野のはくちょう」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
はそれをすることもできずにいました。 朝早く、お妃はお湯にはいりにいきます。お
湯殿は大理石でできていて、やわらかなしとねと、それこそ目がさめるようにりっぱな敷....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
それから台所口に行ってあっちこっち探索のした処、何が、お前様|御勘考さ違わねえ、
湯殿に西の隅に、べいらべいら舌さあ吐いとるだ。 思ったより大うがした。 畜生....
「一寸怪」より 著者:泉鏡花
片着けた女中が一寸家まで遣ってくれと云って、挨拶をして出て行く、と入違いに家内は
湯殿に行ったが、やがて「手桶が無い」という、私の入っていた時には、現在水が入って....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
の新しい格子戸、引込んで奥深く門から敷石が敷いてある。右は黒板塀でこの内に井戸、
湯殿などがあろうという、左は竹垣でここから押廻して庭、向うに折曲って縁側が見えた....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
可えと固く留められていたのを、悪汗が酷いといって、中引過ぎに密ッと這出して行って
湯殿口でざっくり膝を切って、それが許で亡くなったのも、お前、剃刀がそこに落ッこち....
「活人形」より 著者:泉鏡花
も射映ねば、少しも心着かざりけり。 泰助は旅店に帰りて、晩餐の前に湯に行きつ。
湯殿に懸けたる姿見に、ふと我顔の映るを見れば、頬の三日月|露れいたるにぞ、心潜か....